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トラップ 16
目覚めたなら、大切に包み込まれるように男に抱かれて寝ていた。
男の炎に包まれて。
身体は綺麗にされてたし、もう壊れたんじゃないかと思った妙な身体のスイッチは切れていた。
男は起きてた。
俺が目覚めてる時は起きてる。
多分寝てる時も起きてる。
いつでも嬉しそうに胸の中の俺を抱きしめながら見つめているからだ。
「身体、つらくねぇか?」
囁かれた。
髪を撫でる指の甘さ、背中を撫でる優しさが、なんか照れくさいくらい切ない。
「大丈夫じゃねぇよ・・・でも凄い良かった。当分無しな」
俺は本音を言う。
あんなの頭がおかしくなってしまう。
気持ちいいけど、マジで怖い。
声を殺して、毎晩イカされてるくらいのが俺には合ってる。
まあ、たまには。
たまには、ね。
「怖かったか。可愛いな、まあ、あんなもんじゃねぇけどよ、お前向けのでいいぜ、俺は」
男は低い声で笑う。
なんかその余裕が腹が立つ。
ムッとしたら、宥めるようにキスされた。
「お前とだったら何でもいいんだ。何ならこうやって寝てるだけでもいい。でも、ぶっ壊れたお前が、毎日セックスしかしたくねぇってんなら、それはそれでいい。ずっとしてやる」
なんか怖いこと言ってる。
あんなセックスの果てにあるのは、毎日それしか考えない、地獄のような快楽だろう。
それは怖すぎる。
「壊したかったわけじゃねぇ。欲しかっただけだ」
切ない言葉に胸が痛んだ。
男は俺を欲しがった。
中まで男の形に変えたがり、精液で腹をみたしたがった。
噛まれ、味わわれ、食べたがったのも、奥まで犯したがったのも。
俺を求めた結果だった。
求められるのは。
気持ち良かった。
嬉しかった。
俺は幸せに育ったし、大切に慈しまれてきたし、満たされていた。
でも。
こんな風に激しく求められたことなんかなかった。
怖くないか?
怖い。
でも、この男の方がもっと怯えてるから。
俺が欲しいくせに、俺を失うことに怯えているから、それが切なくて愛しくなってしまう。
厄介な性分なのは俺の方だ。
怖がる男が愛しくてたまらないのだ。
「たまにならいい」
俺からも男を抱きしめて、囁いた。
あんな女の子でもされない犯され方のを許すのはお前だからだ。
わかれ。
男が俺の言葉に破顔した。
子供の笑顔だ。
こんな顔で笑えるなんて、誰も知らない。
俺だけしか知らない。
「今度は違うのを教えてやるよ・・・もっとやらしいのをな」
その低い声に、俺の身体が反応して軽くイってしまったのは、男と俺だけの秘密だ。
もっとやらしいのって。
何?
怖いけど。
気になる。
何?
でも、とにかく。
とにかく。
俺はやらなきゃいけないことに心をむける。
罠はしかけた。
やりとげなければ。
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