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肉体装置 1
「ひうっ」
少年は深く貫かれて喉から呼気を漏らす。
カメラを見るように言われて、カメラを見詰める。
舌を突き出し、よだれをたれ流す。
後から決して顔を映し出されることのない男が自慢のデカいので、乱暴についてくるのに合わせて声を上げる。
自分のを扱くように言われて、勃起しているソレを懸命に擦る。
「いいっ!!気持ちいいっ!!」
言われなくても、自分から叫んで腰を振る。
実際、気持ちいい。
もう、逃げれる場所は快楽にしかない。
薬もアルコールも与えて貰えないのなら、ここで気持ちよくなる以外に逃げる場所はないし、確かに竿役のはでかくて気持ちいい。
本当のことを言うと、ねっとり奥を責めて欲しいけど、激しく突いてる画の方がウケるのだそうだ。
これは。
商売なのだ
セックスじゃない。
でも、少年は必死で感じて淫らになる。
本当に感じてエロくないと人気が出ない。
人気がなくなったら。
今はセックスのための道具として使って貰えてるけど、部品にされる。
内臓として売られる。
そのために、ドラッグは与えられないし、食事にも気を使われているし、不特定多数の相手などさせられることもない。
性病検査をされ、なんなら治療され、アルコールも抜かれ、咳止め薬ももちろん絶たれて。
綺麗な身体にされたのは内臓として売りに出すためだ。
売る前に。
ネットで公開セックスをさせて、金を稼がせているのだ。
十代の子供のセックスは。
金になるコンテンツだから。
金になる間はまだ、部品にしないでいてくれる。
部品にされる時は、おそらく、国外に売られて向こうでバラバラにされる。
たまに、国内でも売られることがあるらしいが。
女の子達はもっと悲惨だ。
セックスはさせられてない。
もっと酷い。
妊娠させられてる。
無理やりヤられてできた子供じゃない。
どこかの金持ち達が自分の子供欲しさに人工授精させた子供だ。
人工授精をするには色んな手続きがいるし、倫理的に問題があるとされることもあり、正当なやり方では子供を手に入れられない人間達が、それでも子供を欲しがった結果の子供だ。
児童虐待の前科のある者。
明らかに所有物として子供を欲しがっている者。
決して子供を持ってはいけない連中が、望んで生ませる子供達だ。
【正規】の代理母の値段より格安にして工場にしようという話も連中がしているのを少年は聞いてる。
海外のどこかで、格安で子供を生ませる工場をつくるのだと。
若い女なら、まだ何回も出産できる。
人間の工場?
なんてことだ。
海外の特殊な【工場】に売られた女の子もいたと聞く。
何でも、遺伝子操作をしてつくりあげた人間を生ませるための工場が実際にあるのだとか・・・。
女の子達は出産に使うにはまだ少し若すぎるそうだけど、長くドラッグやアルコールに溺れていたわけではなく、貧困による栄養失調でもない、結局、若くて健康な器官として使われているのだ
少年達か死んでから器官にされるのと違って、生きたままで。
そして、死んだら死んだで内臓として売られるのは同じなのだ。
犯される様子をネットで有料配信されている少年たちとは違って、女の子達の扱いは良いように思えても、どんどん膨れていく腹を見つめて怯えて泣いてる姿が自分たちよりいいとは思えない。
ユウタ・・・
それでもその名前を呟いてしまう。
信じられないのだ。
この世界に初めて居場所をくれた人が、自分たちをこうしたなんて。
ユウタのせいじゃないのかもしれない。
最後に見たユウタは、笑っていたのにそう思ってしまう。
ユウタの手で引き渡されたのにそう思ってしまうしまう。
ユウタの周りでは死んでいく子も多い。
その子達が何に怯えて、何に絶望して死んでいったのか今ではわかっているのに。
それで少年はユウタの名前を口にして、淫らにカメラの前でイったのだ。
人間とは。
どれだけ難儀なものなのか。
どれだけ愚かなのか。
妊娠に怯える少女達が唱える名前も。
ユウタの名前なのだ。
自分を突き落とした悪魔へと、救いを求める。
奇妙な地獄がそこにあった。
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