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祭り 14
ユウタは笑ってた。
街のいつもいる通りの、古いビルの屋上から女装姿のまま街を見下ろす。
ああ、もうすぐたくさん死ぬ。
嬉しい。
誰もいない屋上で、黒のワンビースを捲りあげ、性器を弄り、穴に指を沈める。
あの男がいたら、とは思った。
この楽しい遊びを手伝ってくれた嘘つきな男がいたら、と思った。
穴をガツガツあのいい感じのペニスで抉ってくれただろつに。
お互いにいいオナニー道具だと思い合っているところが良かった。
あれはよく出来たディルドだ。
向こうもこちらをオナホールだと思っているのだろうけど。
でも1人でも十分良かった。
むしろ、最高だった。
たくさんの人間が苦しみながら死ぬのだから。
たまらない。
・・・それは【間違いなかった】。
だって、ユウタは連中が仕掛けるはずの装置をすり替えたからだ。
ユウタが確実に人を殺せると信じられるモノに。
失敗などないように。
ユウタは誰も信じない。
この作戦に嘘はなかった。
確かに。
嘘を見つけられなかった。
でも、確実に沢山の人間を殺したいなら、全て人まかせにするべきではない。
それに。
嘘ではない嘘はたまにある。
勘違いとか、だ。
ユウタは嘘と真実を操って、沢山死に追いやってきたのだから、それは良く知っている。
それにあの嘘つきはプロの嘘つきだ。
嘘を隠すこともできるだろう。
ユウタは誰も信じない。
誰1人でさえも。
自分でさえも。
自分が騙されている可能性は常に考える。
だから、常にもう1つウラをかく。
穴の中の良い場所を指で擦る。
そこをあの男の硬いので擦られるのがたまらなく好きだったが、胸を押さえのたうち苦しむ人間達の姿を考えただけで、感度は跳ね上がり、指だけでも、いや指なのに、尻を振りたくって感じていた。
真っ黒なワンビースをたくしたげ、白い尻をくねらせ、ユウタは自分の指で自分を犯す。
前の性器よりここが大好きになってしまったのはあの男の功績だ。
奥まで犯してここの良さを教え直してくれた。
前を弄るのをもうやめて、後ろの穴と、今日もたっぶりあの嘘つき男にいじめられ、赤く熟した乳首の方を摘んで楽しむ。
舐めて噛んで、ここで楽しむことを教えてくれたのもあの男だ。
抱く方が好きだった身体を変えられたのは認める。
尖りきって、熟したそこを潰したなら甘く声が零れて、快感に震える。
きっと人々は嘔吐し、苦しむだろう。
目を見開き、肌を焼かれながら苦痛の声を上げる人々を思って乳首を指ですり潰し、穴のその部分を執拗に潰した。
快楽がユウタの中から声を外へと押し上げる。
膝立ちのまま、高い声で叫び、黒いワンビースをほとんど胸までたくしあげたまま、その白い身体を痙攣させる。
震える尻と長い脚
立ち上がり濡れて震える正義から白濁を迸しらせた。
それでも、更に激しく指で自分自身をユウタは犯すことを止めない。
死の街
それを青ざめた顔見下ろす。
もう殺人鬼になった連中。
二度と人間には戻れない連中。
そして。
これをユウタを騙すために考えた連中がいたとしても。
その連中も青ざめるか、死ぬはずだ。
近くにいるだろうから。
ユウタを騙しているつもりなら見張ってるはず。
それが事実なら一番いい。
ユウタを騙してるつもりで騙される人間がいるのならたまらなくいい。
いったばかりの身体は鋭敏で、ユウタは苦痛にも似た快楽を、さらに追う。
快楽の深さを知っているからこそ。
逃げたくなる自分の腰を指で更に執拗に追い、いたくなる程胸を指で潰した。
ユウタは毒ガスが発生する装置の何個かをすり替えておいた。
自分が用意したものに。
作った若い男は多分今ごろ自殺してるだろう。
優秀な学生だった。
ユウタは自分を抱かせてやって、優しくしてやって、ソイツを支配した。
そして、装置を作らせ死に追いやった。
いつものことだ。
ユウタはこの計画を聞いた時から、決めていた。
殺す道具は自分で用意する、と。
ユウタの用意した装置は、男の用意したものより強力だ。
恋するユウタのために、男が作ったガス、装置。
このところ自分に監視がついているのはわかっていた。
何かが起こっていることも。
でも連中が見張るユウタに探しているのは、冴えない学生をまた自分の奴隷にしているような、ユウタの通常業務ではないはずだ。
金持ちの親をもつ学生を破滅させるようなこともユウタはちょくちょくしてきたからだ。
未成年で金のない子どもは身体を売らせて、金が引き出せそうな学生には自分に溺れさせる。
男が鍛えてくれたおかげで、学生はユウタの身体に夢中になって何でもしてくれるようになった。
父親の関連する研究施設や技術開発のための施設。
彼はそれらにアクセスできた。
「もう許して」と泣いてねがうほどに穴でペニスを扱いてやり、最後は後しろの穴まで犯してやり、そこでも「許して」と泣かせてやったから、なんでも言うことをきくようになってくれた。
監視がいたとしてはいつものユウタだとしか思わないだろう。
その学生がユウタの頼みで何をしているかまでは追ってないはずだ。
学生は自分がつくったものをユウタがどうするかを理解して、死んだ。
でも男の愛はユウタのためにたくさんの死を生み出すだろう。
それだけが真実。
ユウタのガスは、この街を殺す。
ユウタは激しく痙攣した。
苦痛の向こうの快楽を捕まえて。
射精を伴わない頂上は、沢山の死を現実に感じたからこそ起こったものだった。
叫んで、とうとう倒れて、それでも痙攣し続けた。
黒いドレスと白い肌。
いやらしくめくれ上がった穴は明らかに指をまだ締め付けていて、熟した乳首もふるえていた。
ユウタは淫らに身体を震わせ、終わらない余韻に身を任せていた。
もうすぐ。
もうすぐ。
殺戮が始まる
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