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対決 1
「オレの嘘はバレてないはずだ。ユウタはオレを疑ってはいない」
ドクターはそう言うが、考えこむ。
嘘がバレていないことにはドクターは絶対の自信はあるのだ。
でも、他の誰でもないこの男がそう言うのだから。
男の根拠は多分そうなんじゃないか、という、ただの勘なのだが、でも、この男がそう言うのだ。
そんな臭いがする、と。
臭いだかなんだかわからないが、俺の匂いを嗅いだだけで、俺が誰とその日会ってなにしていたのかがわかってしまう男がそういうのだ。
ヤバい臭いと機械の香りと殺意がユウタからした、と。
ヤバい臭いというのは、何か知らの恐怖の香りで、とてもおそれながらそれでも何かをつくった人間の匂い、と男は言う。
その臭いは俺達が連中に渡した機械のような匂いと共にあったから、男は推測したのだ。
ユウタが同じような機械のホンモノを誰かに作らせてすり替えたのではないかと。
何故全部ではなく半数なのかは完全なる勘らしい。
全部なわけはない。
疑がっていたことを疑われる可能性を避けるためだと。
すべてが推測に過ぎない。
ユウタはおそらく街から監視されてるはずだ。
そんなことをして動いていたなら、とっくに【始末】されてるはずだ。
ドクターは【始末】されてもいいと思って計画を立てていたようだ。
俺達がユウタに手を下すことはない。
俺が【殺し】は禁じたから。
その理由はナツや男のためだ。
俺がナツや男に誰かを殺して欲しくなかったからだ。
もう俺がいる。
だから二人はもう誰も殺さなくていい、そう思ったからだ。
ドクターも自分の手を汚したくはない。
自分の手を汚すのは3流以下だからだ。
そんな理由で殺しをしないと決めただけだ。
正直、俺もユウタが街に殺されるならそれはそれでいいと思ってた。
だから、わざと放置していたのはある。
街は甘くない、はずだからだ。
だが。
ユウタがその上をいったのなら。
この男がそう言うのなら。
俺は男を信じる。
コイツのストーカーとしての勘がそう言うなら間違いない。
臭いや俺の味で俺の1日を当ててしまうような恐ろしい男なのだから。
「ドクター、テロリストになった連中の写真とかある?」
俺はドクターに言った。
ドクターはもちろんとっくに変装を解いている。
どう見てもユウタと一緒にいた男とは違う。
見分けがつくのはユウタくらいなはずだ。
それも、性器を見なければわからないだろうけど。
ドクターの変装は骨格の位置まで変えるが、その部分は変えられないからね。
とにかく装置を作動させるまでにはまだ時間がある。
どこかにもう装置を設置しているのは間違いないだろう。
でも、ドクターが言っていた。
連中は絶対に近くで、その装置がすることを観ると。
ガスから身を守るため、高い場所にいるとしても。
高い建物。
ガスから身を守れる場所。
限られる。
「ああ、何かのためにデータはとってある」
ドクターは言った。
何か?
テロに参加したことを脅すなり何かに利用するきだったんだろうなと思うと、嫌な気分がしたが、今はそれどころじゃない。
「ユウタに気付かれるとだめだから、夜店は続ける。もしかしたら装置が遠隔操作できて、予定より早く起動されたら困る。シブサワさんに連絡して、地車チームの子供たちを呼んできて」
俺は度胸を決めた。
ユウタのつくった装置がどんなものかは解らないが、とにかく発見しないと。
このままでは大変なことになる!!!
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