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対決 9
通りに飛び出して、地車へと向かう
「離れろ、出来るだけ遠くに逃げろ!!」
通る声が通りにひびく。
怒鳴ってるのは内藤だ。
内藤のそんな声、初めて聞いた。
内藤が、あの内藤が怒鳴って子供たちを地車から離れさせていた。
あの人に声を上げたことのない内藤が。
「内藤くん、ダメだ、内藤くんも逃げろ!!」
俺より早く駆け寄るのは、普段なら1番先に逃げるはずのドクターだ。
内藤がいる。
それはどんな危険よりも優先することはわかった。
が、お前は嫌われているから、そろそろ諦めろ。
「探せ!!地車の中に何かある!!」
内藤は自分も地車に飛び込みながら言った。
ドクターには内藤の命令は全てに優先する。
内藤と一緒に探し出す。
俺も飛び込む
サイバースチームパンクな地車には、飾りとしての計器が沢山あって正直どれかわからない。
でも。
1つ。
明らかにカウントダウンしている計器を発見した。
これは飾りじゃない。
何故なら見えないところにあるからだ。
そして、ただ単に置いてあるだけだ。
ユウタはどうやってだか、いや、いつものように奴隷にした誰かを使ってここにこれを置かせたのだ。
カウントダウンする計器は鍋のようなものに繋がっていた。
これは何だ?
どうすればいい?
このコードを切ればいいのか?
「圧力鍋爆弾だ。だが十分殺傷能力はある!!コードを切るな。毒ガスを作ったヤツが作ったなら、コードを切ったら爆発する位の仕掛けは作れる」
ドクターが言った。
「どうすれば!!」
俺はテンパって怒鳴る。
「知るか!!オレの領域じゃねぇ!!」
ドクターは怒鳴り返す。
時間は後5分だ。
子供たちが逃げろと叫んでくれたからものすごい勢いで人は消えていくが、この爆弾の威力もわからない。
畜生!!
どうすれば!!
どうすれば!!
「内藤くん、逃げろ!!俺も逃げたい!!」
ドクターは叫ぶ。
そうだよな、内藤がいたらお前逃げられないからな。
内藤が逃げてくれたら逃げられるもんな。
ドクターの本音のおかげで冷静になる。
考えろ。
そういや監視用のドローン。
ユウタのために飛ばしてるはずだ。
使えないか?
後5分でどこまで上にあげられる?
「ドローンで上空で爆発させるってのは?」
俺は提案する。
「この重量は上げられねぇし、上から危険な破片が降ってくるぞ、釘とか入れて殺傷力を上げるんだよ、圧力鍋爆弾てのは!!このままだと爆発して、俺達は釘を身体の至るところにめり込ませて死ぬ!!ね?内藤くん逃げよう?死ぬのはコイツだけでいいんだからね!!」
ドクターの本音がムカつく。
内藤がキレてる。
ドクターを殴った速度は神速だった。
友よありがとう。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
ユウタの笑い声が聞こえた気がした。
道連れにする気だ。
ユウタは子供たちを最初は連れて行く気だったが、止めて、今俺を連れて行こうとしている。
俺がこの爆弾を置いて無責任に逃げられないとわかっていたから、あえて、教えたのだ。
俺を連れて行く気だ。
誰が、お前と。
行ってたまるか。
考えて考えて考えて。
数秒で一生分考えて。
俺は爆弾を繋がったコードごと抱えて走った
もうこれしかなかった。
タイマーは1分をきっていた。
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