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第16話《Ⅰ章》傾城の悪魔⑥
防御システムは……
(ダメだ)
搭乗機の武器も知らない奴が、防御システムを演算できるわけない。
(開発部に無線を繋げて情報を)
それでは02-XG3が撃たれる。
そもそも俺は人質だ。開発部に情報を開示させる権限がない。シモンを間に立たせていては間に合わない。戦術を立てる前に、チャージ完了したレーザー砲を《ガニメデ》が発射する。
(悠長に事を構えている時間はない)
どうすれば……
『おい!私はどうすれば!』
「分かっている!」
イヤホンから聞こえた耳障りな雑音に怒鳴った。
黙ってろ!
死にたくなければ、時間をよこせ。俺の時間を奪うな。
(いま必死に戦略を立てているんだ)
無能なお前のために。
(《ジェネラル》を破壊させるわけにはいかない)
あの《ジェネラル》こそ、生命線だ。
ここで撃破されるような事があれば、アマクサは落ちる。
(どうして、あんな奴が《ジェネラル》に乗っている)
高度な操縦技術は要らない。せめて《ジェネラル》に乗っているのが、標準的なパイロットだったら……
(まだ打つ手があったのに)
『輝夜』
「五月蝿 い!」
運だけの男が。
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