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第20話《おまけ+》見返り (傾城の悪魔⑩)
『アーッハッハッハー』
無線から高笑いが聞こえる。
『でかしたぞ。さすがは殿下!私の愛する皇子だ!《ジェネラル》が空を飛ぶなんて、夢にも思わなかった。私ですら考えの及ばない、想像を遥かに凌駕する戦術だ!』
「……ありがとう」
褒めてくれているようだから、一応、素直に礼を言っておこう。
『敵司令の悔しげな顔が目に浮かぶ。あぁ、そうだ。殿下』
「なんだ?」
『我が命を助けんがため心を砕いて下さった殿下のお気持ちに、私も報いねばならない。報奨は何がいい?』
シモンを助けた褒美か……
「別に要らない」
『ハッハッハッ!殿下は欲のない御方だ。金でも土地でも良いぞ』
「欲しいとは思わない」
『そうですか。なら、本国に戻ったら土地を差し上げましょう。そこに別荘を建てて、私と殿下の愛の巣を作りましょう!』
「…………」
『そうか。これでは私への褒美になってしまう。困ったな』
「…………」
『金も土地も要らないとなると……ならば女か!』
「なっ」
『いや、しかし。殿下は女を抱けなかったな』
おいっ!
『なにしろ殿下ご自身が、ちんこの生えた雌。雄の体にこそ興奮するが、雌の裸には勃起しない』
「シモン!」
『では今夜、私が殿下を慰めて差し上げましょう。朝まで、たっぷりと……』
(こいつ……助けなければ良かった)
『また私への褒美になってしまいましたな、ハッハッハッ』
「~~~」
(殺す!!)
無線はプライベート回線じゃないんたぞ。
砦全員に馬鹿話が丸聞こえだ。
(~~~)
ツッ
無線が切り替わった。
開発部宛てだ。
『おい、開発部。聞こえるか。コンドーム用意しろ。最新鋭の激薄ピタだ。生触感に最も近い挿入で、殿下に悦びを差し上げる』
「おいっ!」
『夜までに完成させろ』
「なに開発部に、開発を依頼しているんだッ!」
『新型激薄ピタコンドームです』
会話丸聞こえだから分かっとるわ!
『開発部、新型激薄ピタコンドームは10個だ。今夜、殿下のお寂しい蜜壺に10発投下する』
『Yes, My lord 』
「要らんわァァァーッ」
『殿下は欲のない事だ。……あぁ、なるほど。開発部。殿下も新型激薄ピタコンドームを試着したいそうだ。オナニーで装着具合を確かめたいと仰っておられる』
「ナァっ」
『恥ずかしくて伝えられない殿下に代わって、私が通訳した。殿下はSサイズだ』
「違う!」
『恥ずかしくて見栄を張っておられるが、Mサイズだとブカブカだ。Sサイズでいい。開発部、殿下はSサイズだ。間違えるなよ』
『Yes, My lord』
「ちゃうわー!!」
『いえ、殿下はスリムなSサイズです』
「《ガニメデ》!照準02-XG3……レーザー砲」
『殿下、冗談です』
「てぇぇーッ!!」
クッ、今すぐ02-XG3位置データを《ガニメデ》に転送してやろうか。
『……殿下、悪ふざけが少々過ぎました。殿下には私が本国へ戻りましたら、大宦官の地位を差し上げます。これでお許しを』
「…………要らん」
『欲のない御方だ』
「《ガニメデ》が追ってくるぞ。次の指示を与える」
『……はい』
《おしまい♪》
本編はまだまだつづくよ
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