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第24話《Ⅰ章》傾城の悪魔⑭

 烈国は、国際法で禁止されている遺伝子操作による生物の生成を行っている。  ゲノムに手を加え、人工的に遺伝子変異を起こして、地球上に存在しなかった新生物を生み出す。  砂蟲も元々は砂漠の砂に隠れて密かに暮らす甲虫だった。  それをここまで巨大化かつ凶暴化させたのは、人の手による傲慢だ。  無数の牙が《ガニメデ》の装甲を喰い破る。 「もう一匹」  《ガニメデ》には砂蟲を。  砂蟲は、もう一匹いる。  地の底から。 (昇ってこい)  生物は策敵システムの網にかからない。  レーダーにも知られず、今、お前のいる場所は…… 「最後の《ガニメデ》の真下だ」  砂柱が噴き上げる。  砂蟲の体が突き刺した機体が真ん中から割れる。もげる。火花を噴いて真っ二つに裂ける。  敵勢力は全滅した。  ツッ  無線のランプが青く光った。 『よくやった。これより本陣に帰還するぞ』 「《ジェネラル》から出て投降しろ」 『なっ、何を言っている?』  砂蟲が地中深く潜る。  目が退化し、強い光に長く当てられないのが、こいつの弱点だ。地上で過ごせるのは数分。ひとたび地上に出ると数時間、地中で過ごさなければならない。  砂蟲が地上に出るには、数時間かかる。 (もう砂蟲は使えないな)  だが、脅すには十分だ。  02-XG3の性能すら知らない司令官だ。砂蟲の実験も現場に任せきりだったに決まってる。 (シモンは砂蟲の生態を知らない) 「砂蟲を《ジェネラル》真下に潜伏させた。返答によってはお前も《ガニメデ》と同じ運命を辿る」 『待てッ。待ちなさい。あなたは私を助けてくれたのではないのか』 「助けたのは、お前の乗る02-XG3だ」  その《ジェネラル》は…… 「俺のものだ」

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