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第25話《Ⅰ章》傾城の悪魔⑮
『勘違いをしているのは、あなただよ。輝夜皇子』
「交渉の余地はない。投降しろ。お前が遺伝子変異実験の首謀者である事は調べがついている。公表すれば烈国は間違いなく、国際的信用を失い、同時に世界のもう一つの勢力である欧州連合の介入を許す事態になる」
そうなる前に。
「烈はお前を切り捨てる。ユーゴ シモン」
『烈は私を裏切らない。言ったろう。本国の命令で行った遺伝子変異実験だ。首脳部も私に一目置いている。いざとなれば実験に関わった全員の名前を公表しよう』
遺伝子変異実験では落ちないか。
ならば砂蟲で脅すしかない。
「投降しろ。命は惜しいだろう」
『砂蟲で攻撃すれば、あなたの欲しがっている《ジェネラル》も壊れるが?』
「開発部のデータを奪う。機体は再構築すればいいだけの話だ」
『あなたは何が欲しい。砦から逃げるためか。ならば私の力で逃がしてやると言っているだろう。私に一生仕えなさい』
ジュルリ……と。
無線から舌を舐める音が鼓膜に響いた。
『私専用の夜の宦官として……』
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