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第34話《Ⅱ章》月輪と太陽⑦

 HSI確認、ジャイロ計器異常なし。  マッハコーン正常  気圧高度確認、絶対高度表示  瑠月の視線が次々に数値を読み上げていく。  I have a control . 「重力の負荷がかかります。私に掴まって下さい」  グアンッ  体に押し寄せる。 「大丈夫。私に体を預けて」  後ろから伸びた腕にぎゅっと(いだ)かれる。 「コックピット内は狭いですから、少し密着しましょう」  一人用のコックピットだ。そこに大の大人が二人乗り込んでいるのだから、互いの肌が触れても仕方ない。 「《ジェネラル》の操縦は初めてですか」 「あぁ」  やはり、複雑だな。思っていた以上に。 「フライトユニットも装填しているのか。すごいな」 「はい。しかしまだ実用化といえる物ではありません。高度も低いですし、短時間しか飛行できません」 「十分だ」  02-XG3開発過程で製造された実験機。  《クロノス》  高性能ゆえの生産コストに量産に向かないのと、操作があまりにも複雑であるため操縦てきるパイロットがいないために放棄された。  時代(とき)に取り残され、忘れ去られた《ジェネラル》  瑠月は《クロノス》の存在を知り、秘匿の《ジェネラル》を復活させた。 (つまり、お前は……) 「そのスイッチを押して下さい。その後、右のレバーを引いて下さい」 「分かった」  だが。  触れる前に指が止まる。 (確認しなければ) 「瑠月、お前は……」 「あなたの想像の通りです」  背後の声が耳元で囁いた。 「私のバースは、αです」  操作が複雑な《クロノス》は、αにしか操縦できない。 「《クロノス》はαにしか操縦できないから、あなたにお願いしています」  殿下…… 「あなたもαですね」

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