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第39話《Ⅱ章》月輪と太陽⑫
αは他の二性に比べて、能力が秀でている。
身体能力、空間把握力、知力、洞察力……
カリスマ性。
しかし、これらは優れているというだけだ。超能力が使えるわけではない。
(だが)
人を超える能力を目にした時、人は驚愕し、畏怖し、そして。
(平伏す)
αはこうして、他性を上回る強いカリスマ性を獲得してきたのだ。
(β達の予測を超える)
瑠月。お前のやりたいのは、そういう事だろう。
「デルタフォース始動」
02−XG3とシステムは共通している。
《クロノス》は初見だが、いける。
「浸潤経路、異常なし。始めます」
「コズミックシステム状況把握。手動電源ON」
起動停止は免れない。
ならば!
(起動開始速度の予想を超える)
起動停止は数秒ではない。
コンマ、ゼロ秒の値まで。
「手動でプログラミングを打ち込み、起動を再開させるぞ」
「御意」
数字の羅列。
アルファベットの羅列。
予測しろ。
αの能力を最大限に使え。次は何が来る?
「よし!」
これで……
「チェックメイトだ」
コックピットの照明が点灯した。
ジャマー対抗プログラム完成。
ガガガゴゴゴォォォー
《ジェネラル》駆動音が響く。
(時間は?)
「最速です。オートモードよりも速い」
「勝った」
βの予想を遥かに上回る結果だ。
「フライトシステム、コントロール」
「空へ」
「御意」
光が射す。
翼が照らす。蒼い火が背 に燃えた。
「《クロノス》出るぞ」
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