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第42話《Ⅱ章》月輪と太陽⑮
ピィィィーッ
突如、コックピットにけたたましい電子音が鳴り響いた。
瑠月の指が華麗にキーボードを滑るがダメだ。見つからない。
「02-XG3ロストしました」
シモンの02-XG3がレーダーから消えた。
「馬鹿な。ステルス機能はないぞ」
肉眼で目視するが、モニターに機影の影かたちすらない。
「申し訳ございません」
「お前のせいじゃない」
しかし、どういう事だ。これは?
《ジェネラル》が忽然と消えるなんてあり得ない。
クッ
(この流れで制圧)
……というわけには、さすがにいかないか。
「ロスト直前に確認した地点はどこだ?近くまで行くしかないな」
「シモンの身柄の確保も必要です。彼を拘束しない限り、この戦いは終わりません」
「脱出ポッドを使った可能性は」
「極めて低いです。《クロノス》が収集した情報を解析していますが、生体の移動はありません」
おかしい。
これは罠なのか。それとも……
「フライトシステムで飛べるか」
「近距離移動は問題ありません」
「念のために聞くが《クロノス》の装備は?」
「ありませんよ。何しろ、開発放棄された機体ですので」
つまり。
(ハッタリか)
武器を持たない《ジェネラル》が、ハッタリだけで帝国軍を掌握した。
「恐ろしい男だ」
「可愛い男ですよ♪あなたという主に忠誠を誓っているのですから」
「……どこが?」
「う〜ん。このあたりでしょうか」
「キャ」
俺……なに触った??
いま、なにを……
「いま触ったのは、私の……」
「言わなくていいッ!可愛くないッ!」
「褒めて頂けて嬉しいですよ、フフ」
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