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第43話《Ⅱ章》月輪と太陽⑯

「座標入力。YV8」  《クロノス》機内、指が鮮やかにキーボードの上を走る。 「02-XG3を最後に確認した地点です」 「あれは」  高度上昇と共に何かが光った。  最終確認地点の座標だ。 「いるぞ」  肉眼で目視できたわけではない。しかし。 (02-XG3だ)  直感した。 「《クロノス》飛翔モード。YV8付近上空で待機する」 「御意」  確かめねばなるまい。 「シモンと交信する」 「おやめください」 「なぜだ?」 「罠の可能性が消えたわけではありません。交信は02-XG3を確認してからでも遅くはありません」 「わかった」  パネルの光を指先が華麗に追う。 「《クロノス》フライトモード。座標確定YV8、エナジーリフレイン・クリア」  エンジン音が変わった。  打ち寄せる潮騒の音だ。 「輝夜様、右上のレバーを倒し操縦桿を握ってください」 「これか」  コックピットが共鳴する。  光が波になって押し寄せる。 「《クロノス》飛翔する」  操縦桿を握る手に手が重なった。

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