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第47話《Ⅱ章》月輪と太陽⑳
「帝国軍もサキモリも関係ない!」
もしも俺の知らない未知の生物兵器が存在していたら……
「特殊工作部隊、今すぐ建物内に退避。ほかの部隊も同様だ」
(対処できない)
なぜなら《クロノス》には武器がない。
(装備が何もないんだ)
「各部隊、身の安全を確保しろ」
未確認生物は地下坑道を進んでいる。位置の特定もできない。
一体どうすれば……
「おびき寄せるしかありませんね」
眉間に深い皺を瑠月が刻む。
「あるいは既におびき寄せたのかも知れません」
「まさかッ」
ハッと脳裏が冷めていく。
「餌は、02-XG3」
「間違いありません。先ほど解析が完了しました。シモン搭乗機02-XG3の位置に若干の移動が見受けられます。我々が特殊工作部隊と交戦している間に、動いたのかと」
「無茶だ」
あの機体の損傷で動かせば……
「無論、電子系統がダメージを受けます」
「もしや、俺が見た光は」
「恐らく、電子系統が破損した火花です。あるいは何度か小さな爆発を繰り返したのかも知れません。私達は特殊工作部隊との戦闘に集中していたのと、ここアマクサは常に海風が吹いています。多少の煙なら海からの風ですぐに掻き消えてしまいますから、気づかなかったのでしょう」
しかし……
「地下坑道の生物を目覚めさせるには、十分すぎる刺激です」
ピィッ、ジジジィー
「02-XG3!」
ダメだ。オープンチャンネルは02-XG3の回線だけノイズが多い。プライベート回線に繋ぎ替える。
「シモン!応答しろ。聞こえるか」
ジジジ、ジジジィー
(チィッ、この回線もダメか)
「輝夜様、呼びかけを続けて下さい。微調整します」
「02-XG3、応答しろ。シモン!」
ジジッ、ジィー……ピッ
繋がった。
『殿下……』
「02-XG3から出ろ。今すぐ脱出だ。地下坑道を未確認生物が進んでいる」
『ダメだ』
「何を言っている。砂蟲を喰いちぎる生物だぞ。そこに留まるのは危険だ」
『脱出ポッドが開かない』
なんだと!
『砂に埋もれてしまっている。機体も電子系統がやられた。反応しない』
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