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第48話《Ⅲ章》斜陽①
それでもだ。
それでも、外に出なければ。
(ここは、危険だ)
地下資源の過剰搾取の結果、土壌はやせ細り、アマクサの至る所で砂地化している。
シモンの機体は砂地深くにはまって、動けない。
「中からこじ開けろ。救助する」
『分かった』
「輝夜様」
突如けたたましい閃光が鳴った。非常アラームだ。コックピットのランプが点滅する。
「生体反応確認。真下です」
「行くぞ。フルスロットルだ」
「未確認生物の方が速い」
「そんなっ」
(《クロノス》を追い越しただと)
どんなスピードをしてるんだ。
「未確認生物、地表に上ってきます」
ドォォオーンッ!!
砂が噴いた。
真っ黒に。空を黒く染めるほどに。
視界が覆われる。何も見えない。
「座標は?」
「02−XG3の位置、やや手前です」
間違いない。
(02−XG3が狙われている)
だが、なぜ?
己が意志で02−XG3を付け狙う?
《ジェネラル》という理由なら《クロノス》だって同じ標的になり得る筈だ。
(なぜ、02−XG3なんだ?)
「どうなっているッ?」
おかしい。
砂柱はなぜ、沈まない。
「砂柱はなぜ、まだ立っている」
滝のように。
空にそびえる砂柱から、流砂が零れ落ちている。
カタっと指が止まった。
「そういう事ですか……」
「瑠月?」
「02−XG3の座標位置は『巣』です。砂地での攻防、そして決定打は《ジェネラル》の無謀な脱出操作です。《ジェネラル》が『巣』を荒らしたせいで、『巣』の主 を怒らせたんです」
「『巣』の主なんて聞いていない」
「だが事実、私達は今、目にしています」
あの砂柱……
「制御ができず廃棄したのでしょう。しかし、したたかな生命力が生物を生かしていたのです。あれは、帝国軍の産物です」
砂の柱がギラリと光った。
(鱗!)
「あれは……」
蛟
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