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第53話《Ⅱ章》斜陽⑥

 瑠月は何かを知っている。  正確には、何かに感づいている。 (俺の知らない事実を瑠月は……) 「話せ。お前は何を知っている」  お前の知る事実を教えろ。 「恐らく……」  ゆっくりと瑠月が重い口を開いた。 「ユーゴ・シモンは、もうこの世にいません」

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