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第66話《おまけ+》宰相閣下はズルいα【前編】
その前に、確かめなければならない事がある。
「瑠月……」
静かにゆっくり、藍色の双眸を見やった。
自分を落ち着かせるために。
「俺はどうして、すっぽんぽんなんだ……」
一糸まとわぬ生まれたばかりの無垢な姿。
なぜ。
どうしてっ。
瑠月はちゃんと服着てる。
あ、でも上半身は裸だ。
「部屋が暑かったので」
「クーラーかけて」
「クーラーかけたら部屋が冷えすぎたので」
「クーラー止めて」
「寒い時は互いの体温で暖め合うると暖かいと聞きますので」
それ冬山。
「だからクーラー止めて」
「クーラー止めた途端、部屋が蒸すんです」
よくあるけども〜
「互いの体温で汗をかきますから」
「除湿付けて」
「除湿を付けると、また部屋が冷えるんです」
それもよくあるけど。
「除湿止めて」
「除湿を止めると部屋が蒸すので、失礼ながら着衣を脱がせて頂きました」
「だからなんで俺だけ、すっぽんぽん!」
おパンツまでない!!
「汗をかいたままだと風邪を引きますよ」
「引かない」
「いえ、引きます」
「パンツまで脱がせるな」
「脱がせたのはパンツだけではありません」
……何気にすごいこと言わなかったか?
「あの……」
「はい」
「ほかに何を脱がせたんだ」
「上着とおズボンと、そして……」
「そして?」
「寝袋です」
………………寝袋??
(そんなもの、着用してないけど)
「いえ。輝夜様はしっかりと寝袋の中に入っておいでです」
「だから寝袋なんて使ってない」
「入ってらっしゃいますので、起こして差し上げました。ですが……」
「ですが?」
「また寝袋の中に入られてしまったんですけどね」
寝袋から起こした?
また入った?
………………
………………
………………
「瑠月……」
「はい」
「まさか、その寝袋って〜」
「輝夜様自身がお休みになる寝袋ですよ」
にっこり、柔らかに微笑んで、藍を帯びた双眸が緩やかに降りてきた。
包み隠すもののない……
いや。正確にはすっぽんぽんであるからこそ、フサフサの黒い縮れた毛が包み隠す秘匿の領域。
「輝夜様は恥ずかしがり屋の皮被りさんですね♪」
「ヒギャアアァァァアアーッ!!」
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