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第74話《Ⅲ章》うつつの鳥籠⑦

「サキモリは卑怯者じゃない。正々堂々、帝国を討つ」 「なにをっ」 「動くな。動けば、あんたも巻き込むぞ」 「もう巻き込まれている」 「そうだったな」  銃口が俺を捕らえている。 「龍族皇子、あんたが宰相処刑を執行できないのなら要求を変えよう」  息を飲んだ。 (このサキモリ、何かが違う)  直感だ。  突発的な暴動に見せているが…… (俺の考えている以上に頭がキレる) 「帝国宰相、お前が撃て」 (瑠月が俺を……)  撃つ。 「断る。輝夜様を撃つくらいなら」  カチャリ……  銃口が静かに上がる。 「私を撃つ」 「やめろッ!」  撃鉄が今にも引かれる。  銃口が瑠月のこめかみに掲げられた。 「撃つなッ!瑠月!」 「懸命な判断だ。その命令をどうして、あの時下さなかったんだッ!」  あの時、とは…… 「撃つなと命じていれば、死なずに済んだんだッ」  シモンを撃ったサキモリ兵は、帝国兵に射殺された。  あの時……  撃つなと命令していれば、あのサキモリは死ななかったかも知れない。 「状況が違う。私達はあの近くにいなかった。命令しても、部隊には届かない」 「黙れ、宰相」  ギランと敵意が向く。 「サキモリだから見殺したんだ」 「軍規違反だ」  薄い明かりの灯る部屋で、憎悪に揺れる双眸がこちらを向いた。 「味方に発砲し、味方を殺したのは軍規違反だ。射殺は間違っていない」 「輝夜様ッ」  瑠月は、このサキモリを煽るなと言いたいのだろう。 (煽るつもりはない)  これは…… 「事実だ」

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