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第5話 雑誌の撮影③

「おっはよー!」  叫び声に近い元気な声と共に、ドアが勢いよくバウンドした。 俺と音弥はその音に飛び跳ね、音の方を見ると、それまた飛びきりの笑顔で立っている人物がいた。  「レオン……、もう少し静かに入れないのか」  さっきまで2人だけの静かな空間で雑誌を見ていた音弥が、呆れ声で言った。  「まぁ、元気でいいんじゃん?」  ごめん、とレオンは可愛く顔の前で手を合わせた。 これがまた可愛いから、許してしまう。  ドアを勢いよく開けるのは、多分レオンの癖だ。 そして、こう言う開け方をする時は決まっていいことがあった時だ。 例えば、収録で感触を掴んだ時や、何かいいことがあった時に起こり得る現象。 それが、わかりやすく態度に出るもんだから、またそれが可愛いところでもある。 みんながどんなに疲れていても、レオンのバカみたいな行動や、何気ない言動にいつも元気をもらって、助けられている。 場の空気を明るくさせる天才とは、まさにこの事だ。 でも、この事をレオンに言うとまた調子に乗るからまだ言わないでおこう。

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