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第6話 雑誌の撮影④
「レオン、これレオンのか?」
しれっと楽屋に現れたと思ったら、何やらレオンに渡している。
「あ! これ俺のだ!どこにあったの?」
「廊下」
「全然気がつかなかったよ。しかも、これ最近新しく買ったブレスレットなんだよ。ありがとう! 一輝」
「みんな、おはよう」
軽く挨拶した一輝は雑誌を手に取り、音弥の向かいに座った。
「純斗、見て見て。これ新しく買ったの」
レオンは先程、一輝から渡されたブレスレットを持って俺の隣に座った。
「ブレスレット落とすか? 普通」
「引っ掛けるタイプだから、すぐ取れちゃうんだよね」
「何でそんなの買ったの」
「かっこよかったから! 見てよ、この色合い。めちゃくちゃかっこよくない? それにここのワンポイントも、めちゃくちゃオシャレじゃない? このワンポイントが気に入って買っちゃったんだよね」
「確かにかっこいいけど、さっきみたく失くしたら意味ないじゃん」
「確かにね。あ、じゃぁ、キーホルダーにでもしちゃおっかなー」
ブレスレットを天に掲げたと思ったら、楽屋に置かれているお菓子に手を伸ばした。
結局何でもいいのかよ、と思いながらレオンの行動を見ていた。
マイペース選手権があればナンバーワンに輝いているだろうな。
それに比べて、一輝は大人だ。
年齢でこそ、グループの中で一番下だが、一番しっかりしているのが一輝だ。
何だろう、しっかりしていて落ち着きがある。
ハタチそこそこの青年だったら、もっとキャッキャしていてもおかしくはない。
“大人”という言葉がしっくりくるだろうか。
ある意味しっかりしているし、ある意味大人。
音弥とは別の冷静さもある。
一般的なハタチの子と比べれば、精神年齢が高いのだろう。
少なくとも、レオンよりは上だろうな。
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