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第7話 雑誌の撮影⑤
音弥はファッション誌を読み尽くしたのか、テレビを観ている。
その向かいの一輝が、音楽を聴きながら雑誌を読んでいる。
俺は、最近ハマっていることや、気に入っているブランドの服、アクセサリーについて熱弁しているレオンの話を聞いている。
意外とこの時間は、嫌いじゃない。
自分の好きなものを熱く語っている時の、レオンの活き活きと、キラキラした目を見ると微笑ましくなる。
「ねぇ」
レオンは、思い出したような声で俺に声をかけた。
「どうした?」
「永人遅いね」
別の仕事が長引いているのだろう、と言った瞬間。
「おはよう。いやー、長引いた。ギリギリじゃん」
「永人!おはよう。今、純斗と永人の話してたんだよ」
そうなの、目を丸くして俺を見た。
「遅いなって、レオンと話てて。もうみんなメイクとか済んでるから永人も準備しな」
「そうなんだ、遅かったよね。こんなにギリギリになるなんて思ってなかったからビックリだよ」
永人は用意されていたケータリングの水を、乾き切った喉を潤した。
前の仕事が押すことはよくある。
それだけ人気になっている証拠だと、本日2回目の実感を味わった。
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