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第10話 雑誌の撮影⑧
永人は、アイドルスマイルの持ち主だ。
撮影された写真からキラキラなオーラが出てくるほどだ。
まさに、“アイドル”という言葉がふさわしい。
「お願いします!」
相変わらずアイドルスマイルで対応している。
ベッドに入った瞬間、永人から笑顔が消えた。
「男だ」
思わず声が漏れてしまった。
周りを見渡したが、誰も気づいてなくホッとした。
みんなすんなり出来すぎてはいないか?
俺がプロとして自覚が足りないだけかなのか?
下を向いて落ち込んでいると、撮影を終えた永人が目の前にいた。
「純斗、どう。いけそう?」
「うん……。みんなを見て参考にするわ」
「じゃぁ、俺のも参考になった? 俺はね、カメラのレンズを好きな人の顔だと思ってやった。その人が自分以外に見惚れないように、挑発的な? 感じで。俺以外を見つめないで〜、って。俺は、好きな人を思ってやったよ」
永人、好きな人がいたのか。
普段、メンバーとそんな会話をした事なかったから、内心驚いたがアイドルとはいえ20代の男の子だもんな。
好きな人くらいいるか。
「ほら、次一輝だよ」
ハタチという年齢を感じさせない、大人な雰囲気が部屋全体に伝わった。
同い年の永人とは別の魅力が、そこにはあった。
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