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第11話 雑誌の撮影⑨

 ハタチという年齢を感じさせない、大人な雰囲気が部屋全体に伝わった。 同い年の永人とは別の魅力が、そこにはあった。  俺以外、なんらくスムーズに進んでいく。  「次、音ちゃんよろしく!」  コクっと頷き、相変わらず無表情でクールにベッドに上がる。 いや、ベッドに入る前から既に始まっているのか。 男の俺が言うのは、おかしいかもしれないが、なかなかエロい。 こいつこんな顔も出来るのか。 濡らした髪がより一段と、音弥の色気を引き立たせている。 濡れた前髪をかき上げた瞬間。  「ギャー! イヤーン!」  急に奇声に近い叫び声が、スタジオ全体に響き渡った。 カメラマンが興奮して、奇声をあげていた。興奮するのも無理はない。 なんせ俺含め、3人も音弥に心を奪われてしまっていた。 男も見惚れる音弥の魅力、凄まじい。 目がハートになっているカメラマンが、シャッターを何度も押し続ける。  関心と同時に、ライバル心が芽生えてきた。昔から一緒にやってきたのに、音弥が一歩先を行っている。  「純斗、頑張れ」  音弥は、クールに肩を叩いた。 あいつに出来るのなら、俺にも出来るはず。 俺は出来る、と深呼吸しベッドに向かった。  「純斗くん、いけそう?」  「大丈夫です!」  「あら? さっきよりもいいんじゃない」  レンズ越しにも、カメラマンの頬を赤らめていることがわかった。  「いいよ、いいよ」  カメラマンの掛け声が一段と大きくなってくる。  「あら、何だか挑発的な目ね。嫌いじゃないわよ」  体全体で、シャッター音を感じる。気持ちいい。  無事に、撮影は終了した。 撮った写真のチェックするために集まった。 画面には、自分が自分じゃないと思う写真ばかりだ。 兎にも角にも、終わってホッと胸を撫でた。  きょうは、慣れない撮影で疲れた……。 私服に着替えて、帰る準備をしていると、永人から飲みに誘われた。 後でLINEするとだけ言って出て行った。 そういえば、永人とサシで呑みに行くのは、初めてかもしれない。 珍しい、何か相談事でもあるのだろうか。  永人が予約をしてくれた個室のある居酒屋へ向かった。 *****  頭が痛い……。それに寒い……。

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