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第12話 記憶①

 何ブツブツ言っているの、とレオンが変なものを見るような目で、俺の顔を覗き込んだ。  「さっきから、なに念仏唱えてんの? 怖いんだけど!」  そりゃ、念仏みたいに唱えるよ。 どうしたらいいのか、自分でも分からない事が起きたんだから。 ボーッとする頭でも分かった。見慣れない天井。 酒のせいか、頭がひどく痛かった。  腕に重みがある事に気づき、腕の方へ目をやった。  「え?」  状況が理解できない。どういう事なのか。 何故、永人が俺の腕を枕にして寝ているのか。 ピッタリくっついて、気持ちよさそうに寝ている永人の隣で、大パニックになっている俺。 何がどうなってこうなった、と頭をフル回転させるも、頭が痛くて考えられない。 ちょっとまで、なんでこいつ裸なんだ、と考えることが多すぎて、さらに頭が痛くなる。 ここが自分の家でない事は、理解できた。となれば、ここは永人の家という事になる。  永人の家に来たことはなかったが、昨晩は永人と一緒だった。 つまり、永人の家で間違いないのは確信できた。 昨日の事が丸で思い出せない。こめかみに人差し指を当てた。  撮影後、永人に誘われて2人で飲みに行った。 それから……、仕事の話、将来の夢や目標を、酒を交わしながら2人で熱く語り合った。 ここは覚えている。 その後、2軒目にバーへ行った。  「バーでなに話した?」  2人して、結構な量を飲んだ気がする。 実際問題、頭が痛いのはそのせいだろう。

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