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第19話 番宣③
仕事に私情を持ち込むことは、プロとして失格だ。
ずっとそう思っていたし、仕事を疎かにすること自体してはならないと思っていた。
だけど、収録は最悪だった。
「本日のゲストは、SOLEILの桂木純斗くんと白井永人くんで〜す!」
番組MCが俺たちを紹介すると、客席から黄色い歓声が上がった。
「人気すごいね。桂木くん、どう最近忙しいでしょ」
「そんなことないですよ。ありがたいことに、お仕事たくさんいただいてます」
謙遜しちゃって、とMCがツッコんだら笑いが起こった。
そして、VTRフリを永人と2人でとお願いされた。
『VTR、どうぞ!』
普段ならお互いに目を見て息を合わせる。
でも、その行動ですら俺は出来なかった。永人の目を直視出来なかった。
収録は進んでいき、VTRに流れていた“縄跳びを2人で飛ぶ”に挑戦することになった。
縄は永人が持ち、一緒に一つの縄で飛ぶ。
勿論距離は近い。
私情を持ち込んではいけない。
そう思えば思う程、変に意識してしまった。
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