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第24話 永人の苦しかった過去

 「あのね、聞いてほしい事があるんだけど。純斗には全て知ってほしいから」  覚悟を決めた真剣な顔で、手を下におろした。  「俺ね、自分が他人と違う感性を持っていることが、ずっと嫌だった。中学の話になるんだけど、俺、男子校だったんだ」  座ろうか、とソファに2人で座った。 「クラスの男子が、隣街の女子校の話ばかりしていた。でも、俺は1ミリも興味が持てなかった。思春期の男子ってさ、みんな“付き合う”とか“告白”とか、“キス”とか、そういう話で盛り上がるでしょ。雑誌に載ってるモデルは、どの子がタイプとか、好きな女優は誰なのかとか。休み時間になれば必ずと言っていいほどその話題になる……。俺は、全く興味が湧かなかった。逆にね、興味が湧くのは、カッコいい男性俳優、キラキラした男性アイドル。ただの憧れの対象に過ぎないと思い込んでいた……。でも、それは“憧れ”なんかじゃなかった。ある日、テレビで“LGBT”のドキュメント番組をたまたま観たんだ。当時、まだ俺は中学生で “LGBT”という言葉を、あまり理解していなかった。テレビに出ていた人が、俺と同じ様な考えを持っていた。男が好き、女が恋愛対象として見れない。そのテレビに出ていた人は、自分がおかしいんじゃないかって思って、親友に相談したんだって。そしたら、その一番信頼していた親友が周り言いふらして、その人はクラスの子から冷たい目で見られて、イジメられていたんだって。それを見てからかな。あ、これって普通じゃないんだ。言えば親友までいなくなっちゃうのか……。相談しようにもできなかった。いま純斗に話してるのも、どう思われているんだろうって。怖いよ……」  抱えきれない不安を一人で背負っていたのだろう。 永人の目から大粒の涙が頬を伝っている。

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