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第25話 純斗と初めて会った日のこと①
大丈夫だよ、と背中を摩って、呼吸を安定させた。
「元々、キラキラしたかっこいいアイドルに憧れていたから、事務所のオーディションを受けた。まさかの合格。嬉しかった。翌日からは、ダンスや歌の練習をする毎日が始まった。そこで純斗と音弥に出会った。2人は本当に仲良しで、俺も仲良くなりたい、話してみたいって。中々馴染めなくて、輪に入れなかった俺を、純斗が声をかけてくれて輪の中に入れてくれた。って、覚えてないよね」
覚えているよ……。
事務所の人から、新しい子が入ると聞いていた。
「今度、事務所から新しいグループを作ることになった」
その日呼ばれたのが、俺と音弥。
そして、そう話すのは、チーフマネージャーの木村さんだった。
その横にいたのが、桜田マネージャー。当時のことは鮮明に覚えている。
「新しいアイドルグループに、純斗と音弥。君たちを含めた5人グループを結成させ、3ヶ月後にはデビューさせたい」
木村さんの言葉に、俺と音弥は顔を見合わせ、喜び叫んだ。
そして、新しく入ってくる子を、俺らと同じグループでデビューさせる。
だから、鮮明に覚えていた。
どこか不安げな子がいるのを見て、この子が新人の子だとすぐにわかった。
背中を摩り続けていたことで安心したのか、永人の呼吸は落ち着きを取り戻している。
「好きな仕事を夢中でしていたら、自然と自分が他人と違うことなんか忘れられるだろうと。でも、無理だった。だって、そこで好きな人ができてしまった。それが、純斗だった」
背中を摩る手を止めた。
「どうして、俺のことを好きになったのか、聞いてもいい?」
コクっと頷き、俺と向かい合った。
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