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第40話 レコーディング⑥

 ユニット曲は、“Promise〜星ニ願イヲ〜”というタイトルだ。 曲調は、バラードになっている。     “もう二度と会うことができない恋人との約束”を歌う歌詞になっている。  声合わせと大層に言っているが、気になった部分を何度か合わせる程度だった。 時間で言うと、15分くらいだ。  「純斗、付き合ってくれてありがとう」  「こちらこそ!」  廊下が賑やかになってきた。 みんなが戻ってくるまでに終わってよかった。  残りの3人も控え室に戻って来て、いつも通りわちゃわちゃはしゃいでいる。 ただ、永人がじっと俺の方を見続けていること以外は、いつも通りの控え室だ。  レコーディング2日目。 ユニット曲の収録前に、もう一度音弥と歌合わせをした。  スタンバイが整ったようで、スタッフが楽屋まで呼びにきた。  音弥と2人で歌うことは以前にもあったが、それは歌番組内だけのこと。 こうやって実際にレコーディングをして発売することはなかった。 だから、ある意味新鮮だった。  事務所に届いているファンレターには、“音弥くんと純斗くんの2人で曲を出して欲しい”と言う声が来ている。 需要に応えるということも大切だと思った。  このアルバムを引っ提げてライブツアーも決まっている。 2人のユニットは、すごく反響になると思うわ、と桜田マネージャーが言っていたことを思い出した。  ありがとうございました、と深くお辞儀をしてレコーディングを終えた。  昨日の練習の甲斐もあってか、収録はあっという間に終わった。  「純斗が昨日練習に付き合ってくれたから、気持ち入れられたよ。ありがとう」  ヘッドホンを取りながら音弥が言った。  拳を出すと、音弥が拳をぶつけた。

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