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第44話 クリスマスデート③
約1時間半、予定通り16時前に九十九里に到着した。
外を見ると、夕日が海を真っ赤に照らしていた。
今年1番の寒波のせいか、誰ひとり人はいなかった。
永人はというと、あれから眠ってしまった。
そして、まだ寝ている。
「永人、着いたよ」
揺さぶっても起きない。どうするか……。
「起きないと、キスするよ」
パチっと目を開け、起きました、とシートベルトを外した。
「起きてんじゃん」
「タイミングが。だって純斗、また変な事言うし」
俺のせいかよ、と言うと、また耳を赤くしていた。
夕日色に染まっている海は、幻想的でとても切ない気持ちになった。
「冬に海っていうのもいいな」
「でしょ? 好きなんだ、この景色。だから、純斗にも見せてあげたかったんだ」
誰ひとりとして人はいないこの場所を、ふたり占めしている気分だね、と永人は笑った。
「地球上に、俺と純斗しかいないみたい」
浜辺で座り、暫く2人で海を眺めていた。
段々、陽が落ちて薄暗くなってきた。
流石に寒くなり、車に戻ろうかと言ったが、永人は、まだ居たい、と動かなかった。
俺は、車に積んであった毛布を永人に渡した。
「ねぇ、純斗。ありがとう」
「うん、寒いでしょ」
毛布じゃなくて、と永人は眉間にシワを寄せた。
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