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第50話 おうちデート②

 一瞬のことでわからなかったが、唇が離れると永人の顔が間近にあった。  不意打ちキス、と永人が俺の耳元でささやいた。  「どう? びっくりした?」  俺は、囁かれた耳を抑え、目を見開いた。  「え、今キスした?」  「うん、した。え、不意打ちだと、キスだってわからなかったの?」  ごめん、一瞬で、と言うと、やっぱロマンチックじゃないな、と永人が目を細めた。  「わかったよ。ちゃんとキスだってわかるくらい、めちゃくちゃにしてあげる」  またも、耳元で言うと永人は俺の頭を撫で、髪、耳、唇に触った。 唇をしばらく親指で触り、俺の反応を見て楽しんでいる。  すると、その親指が俺の口の中に入り込んだ。 永人の指が俺の舌の上で動いている。 反論しようにも、指で言葉が出せない。  「痛っ!」  俺は永人の指を噛んで抵抗した。が、それは無意味だった。  「抵抗しても無駄だよ」  その言葉を言うなり、永人の舌が俺の口をこじ開けた。  永人の舌が音を立てながら、俺の舌に絡み付く。 時折、吸ったり、歯で唇を甘噛みしてくる。 永人のペースに完全にのまれている。 永人の胸を叩くが全く離れてはくれない。 舌が絡み合う音だけが部屋に響いている。

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