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エピローグ「魔法学園に新しい夜明けが訪れます」

 こうして四つの道が示され、アッシュをめぐる物語は終わります。  アッシュが自分の道を選んだあとも王国は繁栄し、魔法学園からはたくさんの魔法使いが巣立ちました。  それからまた長い時間がたちました。  いまでは王国やゴーレムの様子をおぼえている者もほとんど残っていません。ひょっとしたら、この古い大時計に棲んでいる、わたしひとりしかいないのかも。  魔法使いや魔法の道具に関するお話も、忘れ去られてしまいました。  え?  他にどんなお話があるのかって?  そうですね……ガラスの棺の中で眠りつづける美貌の王子と騎士のお話や、一度だけ願いを叶えてくれる黄金の指輪のお話や、物事をあべこべに映してしまう邪悪な鏡のお話や……何日かかっても終わらないくらい、たくさんのお話がありますよ。  まだ聞きたい?  それはいけません。今はもう真夜中です。  みなさんはまっすぐ自分のお部屋にもどって、ベッドに入ること。  いうまでもありませんが、お話を聞くためにここに来ていたことを、ほかの人に知られないように。  それに間違ってもわたしの住まいに――この大時計に入ろうなどと、思わないように。  ダスのように、うっかり魔法の封印を解いてしまうかもしれませんからね。  みなさんが目をさましたとき、魔法学園にも新しい夜明けが訪れています。  今夜のお話は、これでおしまい。

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