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3.ケイとアンリ (2)

 予約枠をオープンすると、翌週の火曜日の夜に、さっそく一件目の予約が入った。  ケイはベッドに寝転がって、スマートフォンのカレンダーアプリに自動反映された予約の表示をただぼんやりと見つめた。  今日は金曜日だから、と、指を折って日数を数えてみる。  そんなことをしていると、突然電話のコール音が鳴った。ケイは驚いて画面の表示を見ずに、通話ボタンをタップしてしまった。 「あ。……」  しまった、と思って短く声を漏らす。  もう通話が繋がってしまっているので、急いで耳に当てた。 『ケイト?』  耳介に飛び込んできたのは、アンリの声だった。 「あ……、うん、」  ケイは穏やかなアンリの声に、ほっとしながらうなずいた。 『いま、電話してても大丈夫?』 「だいじょ ぶ、」  寝転んだままだと声が出しづらくて、ケイはむくりと上体を起こした。 『明日、会えないかな?』 「あした、」 『何か予定ある?』  ケイは「ない」と答えた。 『じゃぁ会える?』  会ってどうするんだろう、とは思ったものの、会えないわけはないので、ケイは、うん、とうなずいた。 『良かった。どこで会おうか。こないだ会ったカフェから、ケイの家近い?』 「うん、近い、」  アンリが相手でも、やっぱり電話は苦手だなと思いながら、ケイはたどたどしく返事する。 『じゃぁカフェの前で待ち合わせしよう』  さっきまで仕事のことで頭がいっぱいだったケイは、今度は、アンリとの約束のことで頭がいっぱいになった。

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