41 / 50
5.我侭 (10)
「何か作ろうか?」
不意に横からレイに声をかけられて、ケイはびっくりして思わずレイを凝視してしまった。
そのケイの反応に、レイはちょっと不思議そうに首をかしげた。
「その子、モトイさんが連れてきたの。なんか可愛いんだよね」
カズキはいつの間にか、カウンター内にイスを持ってきていて、そこに座ってレイと会話している。
「ああ……、そういえば、前にそんなこと言ってたっけ、」
「未成年なんだよね。ホントだったら高二くらいの年じゃなかったかな」
だよね? と聞かれて、ケイは途中の会話がわからないところもあったが、とりあえずうなずいておいた。
「だからアルコールはNG」
カズキの言葉に、レイは得心したようにうなずいた。
「ノンアルもできるよ、」
「あ、じゃぁなんか作ってやって。適当に、」
ケイの代わりにカズキが答えてくれた。
「適当……」
レイはちょっと考えるような顔をしながら、席を立ってカウンターの奥へ入っていった。
厨房があるようで、包丁を使う音などが僅かに漏れ聞こえてきた。
ともだちにシェアしよう!