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5.我侭 (10)

「何か作ろうか?」  不意に横からレイに声をかけられて、ケイはびっくりして思わずレイを凝視してしまった。  そのケイの反応に、レイはちょっと不思議そうに首をかしげた。 「その子、モトイさんが連れてきたの。なんか可愛いんだよね」  カズキはいつの間にか、カウンター内にイスを持ってきていて、そこに座ってレイと会話している。 「ああ……、そういえば、前にそんなこと言ってたっけ、」 「未成年なんだよね。ホントだったら高二くらいの年じゃなかったかな」  だよね? と聞かれて、ケイは途中の会話がわからないところもあったが、とりあえずうなずいておいた。 「だからアルコールはNG」  カズキの言葉に、レイは得心したようにうなずいた。 「ノンアルもできるよ、」 「あ、じゃぁなんか作ってやって。適当に、」  ケイの代わりにカズキが答えてくれた。 「適当……」  レイはちょっと考えるような顔をしながら、席を立ってカウンターの奥へ入っていった。 厨房があるようで、包丁を使う音などが僅かに漏れ聞こえてきた。

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