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5.我侭 (12)
頭を下げたまま固まっていると、客席側へ戻ってきたレイに、
「そろそろ顔あげないと、首痛くなっちゃうよ」
と、からかうように言われ、ぽんと優しく頭を叩かれた。
もう耳や首まで赤くなっていて、ケイは諦めた気持ちになり、頭を起こしてレイを見た。
「真っ赤、」
自分でもわかっていることをはっきり言われて、ケイの顔の熱はますます収まらず、とうとう涙目になった。
「わ、ごめんね、大丈夫?」
ケイの反応に驚いたのか、レイは慌てたように言うと、ケイの頭を抱き寄せて、よしよし、と宥めるように背中を撫ぜた。
「ずーるーいー! レイさんおれにもして!」
そこに、完全に酔っ払っているテンションのユウが、三人の静かだったエリアに乱入した。
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