46 / 50

5.我侭 (15)

 今すぐにでも眠ってしまいそうなケイのおぼつかない足取りを、モトイが支えながらコインパーキングへ向かった。  あと一週間ほどで年の瀬を迎える冬の真っ只中、深夜の空気はキンと冷えていて、吐息が白く染まる。  乗り心地の良いSUVの助手席に座ると、ケイはもう睡魔に抵抗できなくなった。  遠のく意識の中でエンジン音がして、車が移動を始める。心地よい振動に、ケイはとうとう眠ってしまった。

ともだちにシェアしよう!