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第44話 ※

※性描写ありなので苦手な方はご注意ください 無言で屋上を後にして、階段を早足で降りて。うるさい心音を聞きながらも、俺の意識は握るその手の熱さに集中していた。 暗闇の中、灯りをつけることすら忘れて月明かりだけを頼りにして長い廊下を進む。美鳥は俺に手を引かれるまま、黙って後をついてきた。俯いていてその表情は見えなかったけど、そこに抵抗の意思は全く感じられない。 部屋に戻って玄関に靴を投げ出し、そのまま俺の部屋に美鳥を連れ込んだ。 パタンと閉じられた部屋のドアに美鳥の身体を押し付ければ、俯き視線をさ迷わせていた顔がゆっくりとあげられた。 カーテンの隙間から月明かりの淡い光が注ぎ込む室内で、濡れた瞳が俺を見つめる。 握っていた手を離しても美鳥は動かなかった。互いの指を絡ませるよう握り直せば、俺を見つめる亜麻色がゆっくりと閉じられる。 俺はまた唇を重ねた。 触れ合うだけのものとは違う。薄く開いた唇から差し入れた舌で、美鳥のそれを絡めとる。鼓膜をふるわせる水音におかしくなりそうだった。 熱い塊を絡ませて熱を奪うだけでは足りなくて、呼吸すら奪うように激しく口付ける。歯列の裏をなぞってやれば、美鳥の身体はぴくりと小さく跳ねた。 とろんと蕩けた亜麻色が焦点の合わないまま俺を見つめてきて、俺は衝動的にその身体をベッドに押し倒した。 白いシーツに、亜麻色が広がる。 室内に二人分の荒い息遣いが響いた。 「……抵抗、しないのか?」 どこかで願っていた。抵抗して、拒絶して、この衝動を止めて欲しい。 けれど、見下ろすその瞳は揺らぐことなく真っ直ぐに俺を見つめる。 「……いいよ。」 乱れた呼吸に混ざって、小さな声が聞こえた。 「櫻井君がしたいって言うなら……いいよ。」 拒絶どころか口元に笑みすらうかべて。 最後の最後まで保っていた細い糸が、プツリと切れた気がした。 唇を重ねながら、パジャマのボタンに手をかける。毟るように外せば露になる白い肌。 それは当然の事ながら丸みを帯びた女性のものとは違う。平坦な胸に、均整の取れた肉付き。 それでも、身体は興奮を覚えていた。 首筋に顔を埋め、唇でなだらかな身体のラインをなぞっていく。 「ん、」 鎖骨を強く吸い上げてやれば耳元で甘さを含んだ吐息が聞こえた。 白磁のように白い肌に鬱血の赤が映える。俺の手で、こいつに付けた痕。 降り積もった真っ白な雪に足跡を残すような優越感と背徳感。 心の片隅で、このまま続けるべきじゃないと思いながら、衝動を抑えられずに俺は美鳥の肌を汚していく。 「ぁ……っ、」 深夜の部屋に漏れる熱い吐息が、衝動を加速させていく。 辿り着いた胸の突起を口に含めば、美鳥の身体はぴくんと跳ねて仰け反った。 「ひぁ、……んんっ、」 舌で捏ね回して片側は指で摘むようにしてやれば、その身体はぴくぴくと反応を返してくる。 「んっ、……ふぅっ、ん…」 声を抑えようと自らの手を口にあて必死に耐えようとしているが、震える身体ではそれも上手くいかず、いつもより甲高い声が室内に漏れ響く。その瞳は熱に浮かされ、蕩けていた。 俺だけじゃなく美鳥もこの状況に興奮を覚えている。その証拠に、 「んァっ!…」 下肢に手を伸ばし、寝巻きの上から撫で上げてやれば美鳥は一際大きく身体を反らせ声上げた。 服の上からでもわかるくらい、そこは存在を主張し張り詰めている。 「っ、……さくらい、くんっ、」 羞恥からか美鳥が嫌だと首を振るが、俺は構わず下着ごと下衣を全て脱がせてやった。 露になったそこに、俺は迷わず指を絡める。 「っ、あ、だめっ、……んんっん、」 否定の言葉ごと唇を塞いだ。 恥ずかしいと身を捩りながらも差し入れた舌には必死に絡みついてくる。ぴちゃぴちゃと耳に絡みつく水音にぞくりと背筋が痺れた。 もっと乱れればいい。鳴き狂って俺に縋って、もっと俺を求めればいい。 「ふっん、……ぁ、…あ、っ、ひぁ、」 ゆるゆると起立した美鳥自身を扱きあげれば、俺の指にぬるりとした物が絡みついてきた。 同じ男なんだ、追い詰め方くらいわかってる。 漏れてきた先走りを塗りつけるように、わざと音を立てながら責め立てれば白磁の肌はビクビクと震え、甘い声と共に反応を返してくる。 「ぁ、だめっ、も、…っ、くらい、くん、……だめ、」 美鳥が首を振れば、汗を含んだ髪がパサリとシーツにぶつかり音を立てる。 拒絶の言葉を口にしながらも美鳥の両腕は俺にしがみついてきて離すまいとシャツを掴まれた。 拒絶ではなく、限界が近いんだろう。 「もっ、…く、いく……だめっ、イッちゃ、からっ、」 やめて欲しいと懇願するその声に煽られて、俺は動きを早める。 「ぁ、あ、あ、っァ、」 「っ、……美鳥、」 いつの間にか俺の声も熱をもってしまっていた。 自分のじゃない男のものを扱いて興奮するなんてどうかしてる。そう思うのに止められない。 泡立つくらいにそこを擦り上げてやれば、美鳥は簡単に果てた。 「っ、あ、ぁ、あァっ!」 大きく背をしならせ、その腹に白濁を散らす。 ビクビクと身体を痙攣させながら、その口からは熱を含んだ荒い吐息が漏れる。 「は、っ、ぁ、……さ、…らい、く……」 鬱血の赤が散るその肌を自らの欲で汚して、涙で滲んだ亜麻色が俺を見上げる。 欲しい。 ごくりと、息を飲んだ。 自らの右手を開いて見れば、そこにはねっとりと白濁が絡みついていて。俺は迷わずそれを口に含んだ。 「っ、…だめ、…きたな……っ」 青臭い匂いと共に口に広がる苦味すら、今は興奮を煽るだけだった。 「……なぁ、続けていいか?」 拒絶されても多分止めてはやれないけど。 濡れた亜麻色に映るのは情欲に彩られた自分の瞳。 息を荒らげたまま返事も出来ずに俺を見つめるその亜麻色を見ながら、俺はまた唇を重ねていた。

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