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第45話 ※
※性描写ありなので苦手な方はご注意ください。
くちゅくちゅと室内に響く淫靡な水音。そこに混ざり溶けていく熱を孕んだ吐息。その全てが脳髄を溶かし、じんと身体を震わせる。
拙いながらも俺の舌に必死に応え、腕を伸ばして絡みついてくる美鳥に俺はどうしようもない興奮を覚えていた。
爪の先から髪の毛一本に至るまで、その全てが欲しい。熱も、鼓動も、吐息ですら全て。
唇を離せば、つ、と糸を引いた唾液が名残惜しそうに二人を繋ぎ、ふつりと切れた。
カーテンの隙間から注ぐ淡い月明かりが美鳥の身体を青白く照らす。
蕩けた亜麻色はぼんやりと俺を見上げ、薄く開いた唇からは熱を孕んだ吐息が漏れるばかりで否定の声はあがらない。それどころか先程俺の手で欲望を解放したはずのそこは、またゆるゆると存在を主張しはじめていた。
目の前の光景にごくりと息を飲み、俺はベッド抜け出した。机の引き出しを乱雑に開けて、そこにあったハンドクリームのチューブを取り出す。これくらいしか思いつかなかったけど、多分ないよりはいいだろう。
不安そうに俺の動向を見つめていた美鳥もその意図がわかったのか、俺の手にしたものを見てこくりと小さく喉を鳴らす。
「……ごめん、止めてやれない。」
「大丈夫、だよ。」
笑みを見せつつもその声が震えている事はわかっているのに、もうどうしようもなかった。
着ていたシャツを脱ぎ捨てて、ハンドクリームのチューブを握り中身を思いっきり手の平に絞り出す。
身体の奥底から湧き上がる欲求のままに、俺はそれを右手に馴染ませ美鳥の下肢へと手を伸ばした。
両足を左右に広げ、露になったそこに触れる。入口の周りをなぞりハンドクリームを塗りつけるようにしてやれば、美鳥の身体はひくりと反応しそこはきゅっと強ばった。
ゆるゆると解すように触れ、ゆっくりと指を押し入れる。
「んっ、」
つぷりとなんとか入った指は、けれどもなかなか奥へと進めない。少しずつ挿し進めるたびに、美鳥の顔が苦痛に歪む。
本来なら決して受け入れるべき場所ではないそこは、異物の侵入を完全に拒んでいた。それでも俺は潤滑油がわりのクリームを内壁に塗り付けるようにしながら、半ば強引に指を押し進めていく。
「っん、……」
端正な顔が歪められる。苦痛と、おそらくは恐怖で。
わかっているのに衝動は止められず、
俺は緩く存在を主張していた美鳥のそこに再び手を伸ばした。
「ふぁ、っ!んんっ」
硬くなっていたそこをゆるゆると扱いてやれば美鳥から甲高い嬌声があがる。あわてて自らの口にてをやり必死に声を抑えようとするが、やはりびくりと跳ねる身体では難しいようで、俺は先程脱ぎ捨てたシャツ拾い上げ美鳥の口元に押し付けた。
「これ、咥えてろ。」
俺に促されるままに薄く唇を開いてシャツを食む。唇をかみしめ必死に耐えるその姿を見ながら、俺はまた指を動かした。
ゆるゆると前をしごいて余計な力が抜けた分、先ほどよりも幾分かスムーズに奥へと指が飲み込まれていく。とにかく奥へ。無理やりねじ込んでやりたい衝動を抑えながらそこを解す為に指を進める。指の付け根まで挿し込んで、中を引っ掻くように指を曲げてそこを広げていった。
美鳥のものを刺激しながら、ビクビクと跳ねるその身体の奥を搔き乱していく。
「んっ、んんっ、ぅ、」
硬く閉ざされ押し返さんばかりだったそこが、次第にほぐれて蕩けていくのを感じながら、チラリと美鳥の顔を覗き込む。その顔は完全に熱に浮かされていて、苦痛の色はもうどこにもない。指を増やしてもそれは変わらなかった。
体温でどろりと解けたハンドクリームがぬちぬちと隠微な音を立て俺の指を誘い込んでくる。
「んんっ、ん、ふ、んぅ……」
無意識なのだろうが、切なく顔を歪め、強すぎる快楽を逃がすために腰を揺らすその姿は、俺の中に僅かに残る理性や良心を興奮で塗りつぶしていく。
ゆっくりと指を引き抜けば、そこは物足りないとひくついて、もっと欲しいと誘っているかのようだった。
己のズボンのベルトに手をかける。
脱ぎ捨てる時間すら惜しくて、下着もズボンも足に絡ませたまま、熱く脈打つそれを後孔の入り口にひたりと押しあてた。
ごくりと息をのむ。
互いに無言で視線を絡ませる。息を乱しながら、美鳥が小さく頷いたのを合図にその脚を抱えて両肩にかけ、己の猛ったそれをゆっくり侵入させた。
「ぐっ、んぅっ、っ、」
「く、そっ」
めりめりと絡みつき圧迫してくる内壁に、思わず息がつまる。美鳥はかたく瞳を閉じて、苦痛に耐えるために咥えていた服を噛みしめ握りしめていた。
息が止まる。呼吸すらまともにできない圧迫に顔を顰めながらもずんっ、と奥へ。少しずつ進めようと思っていても、はやる気持ちは止められずどうしても乱暴になってしまう。内壁を裂かんばかりに無理やり押し込んでいけば、美鳥の瞳からぽろりと涙が零れ落ちた。
「んっ、ふ、ぅっ、」
「っ、ご、めんっ、」
それでも衝動は止まらず、少しずつ馴染んできたそこに腰を振って欲望をぶつける。少し引き抜いてはその勢いで先ほどよりも奥へ。
「っ、み、どり…」
強引な律動を繰り返せば、罪悪感と共に今までにない強烈な快感がおそってくる。
独り善がりだとわかっているのに、止められない。それどころか美鳥の腰を押さえつけ、より深く打ちつけようとめりめりと内壁を抉るように自身を挿し進める。
苦しめる事しかできない。謝る事しかできない。けれどそんな自分に、美鳥は腕を伸ばしてきた。
シャツを噛み締め苦痛に顔を歪めながら、それでも離れたくないと必死にしがみついてくる。
「美鳥っ、み、どりっ、」
「んんっ、ん、ふ、っん、」
内壁に自身を擦りつけるように動けば、美鳥は合わせるように腰を動かす。
少しずつ互いの動きが合ってきて、呼吸を感じて。だんだんと本能的にタイミングを理解して身体が動けば、苦しげだった美鳥の声が、次第に高く甘く変わってくる。
もっと聞きたくて遠慮なしに最奥を目指して身体を突き進める。狭い部屋に響くくぐもった嬌声は、麻薬みたいに頭も身体もマヒさせていった。
「アっ!なっ、に、」
「ここ、か?」
「ぁ、やぁっ、だ、そこ、ヤダっ」
ぐりっと内部の一点を擦れば、美鳥の身体が大きく跳ねる。あまりの衝撃に瞳を見開き、噛み締めていたシャツが口からこぼれ落ちる。
そこを見つけてしまえば、あとはひたすらに責めたてるだけだ。ぱしんっと肌のぶつかる音がさらに互いを追い詰めていく。
「ふぁ、あ、あ、や、めっ」
擦るたびに入り口がぎゅっと締まって、自身を締め付けられる。息が詰まる快感に、もう我を忘れて身体は勝手に動いていた。
「っ、みどりっ、」
「んあっ、さっ、くらいく、っ、さくらい、くっ、あ、あ、」
もう声を抑えるなんてどうでもよくなって、互いに叫ぶように名前を呼んで、夢中で腰を打ちつけた。
痛みも、苦しさも、確かに感じているはずなのに、それら全てを快感が上書きして、頭が白く染まっていく。
もっと声が聴きたい。もっと、もっと俺の手で乱してやりたい。
どろどろに溶けきった思考回路の中で残った欲望に従って、俺は美鳥の張り詰めたそこに手を伸ばして追い詰めていく。
「あ、あ、も、っぁ、んあぁっ!」
ギリギリまで引き抜いて美鳥の中に楔を打ち込めば、その身体は一際大きく反り返った。
自身からとぷりと白濁が吐き出され、俺の手と互いの腹を汚す。達してビクビクと痙攣する身体が、きゅっと入り口を締め上げてきた。
「っ、く、」
食いちぎらんばかりに締め上げられれば、強烈な快感が脳髄を突き抜けて、瞼の裏に火花を散らす。
「み、どり…っ」
限界を迎える前になんとか自身を引き抜いて美鳥の腹の上で欲望を弾けさせれば、白濁が白磁の肌に飛び散った。
「っ、はぁ、……、くらい、く…」
「っ、美鳥、」
鬱血の赤に二人分の白濁。汚されたその身体はそれでもたまらなく綺麗で。俺は強烈な解放感を感じながら、目の前の存在を強く抱き締めた。
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