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第4話 ※フェラ
誠二については、小便臭かったのでとりあえずシャワーを浴びさせた。
あの腕の機械は完全防水らしかったが、何かあっては困るので誠二も慎重に扱っていた。そのついでに、飲んでしまった分の空のペットボトルに水を補給しておいた。
あの謎の人物は突如声を発し、『デスゲーム』とのたまっていた。実際、条件とやらをクリアできなかった誠二は電流で拷問された。
あれくらいでは死なないかもしれないが、もしこれからエスカレートしていったら? それこそデスゲームに他ならない。これはきっと、脅しなんかじゃない──。
何故俺達なんだろう、何故この場所なんだろう、疑問は溢れて仕方なかったが、今はとにかくどうにかしてここから解放される手段を考えるべきだ。
しかし、スピーカーの主は考える余裕すらあまりくれないようだった。
その日の夜、声がしたと思うと、至極簡単にできるだろうと言わんばかりの命令が下されたのだ。
『今回は遥希様に、誠二様を犯していただきます。前戯の有無は問いませんが、挿入と遥希様の射精、誠二様は遥希様が確実に射精できるよう積極的に奉仕することがクリアの条件となります』
まるで意味がわからなかった。誠二とセックスを……しろだって? いや、同じ男としては掘られるよりはマシだと思う反面、どうして復讐心の発端である誠二なんかと。
誠二を辱める為に尿を浴びせたことはあったが、それとは訳が違うだろう。
男同士でするということは、挿入するということは……なんてことだ。これが否定すれば罰が下るデスゲームであるとしても、あまり考えたくない。
誠二の方だって苦い顔をしている。誠二にとっても、俺は二年もの間いじめていた下僕のような存在だ。そんな人間に尻を差し出すだなんて、想像しただけで気色悪いに決まってる。
『今回は遥希様に、誠二様を犯していただきます』
録音なのかもわからないが、再び同じ文言が流れ出した。やるまでずっと流れ続けるのだろうか。それなら頭がおかしくなりそうだ。
「ぅ……く……わ、わかった! わかったから、音声を止めろ!」
このまま長時間何もしないで失敗とみなされるのは嫌なのでとりあえず服を脱ぐものの、当然ながら俺のものは萎えている。この状況で、しかも誠二相手なんかに興奮する訳がない。
自分で軽く扱いてはみるが、オカズの類いは全くないし、何か妄想するにしても、誠二の存在が邪魔をしてやっぱり勃ちそうにない。
「なあ誠二、フェラとかできる?」
「はっ、はあぁ!?」
「俺も男の口に突っ込むなんて嫌だけど。これからケツにも突っ込まなきゃいけない訳。俺の気持ちわかる?」
「そ……そんなの、わかるかよ……」
「で、たぶんフェラくらいならまあ、声出さなきゃ目ぇ瞑って女で妄想するよ……。誠二も積極的にやれって言われただろ」
「それは、そうだけど……」
とはいえ、いきなりフェラしろだなんて言われても誰だって躊躇はするだろう。ましてや相手は同性で、お互いに悪印象を持っている同級生。
「あの電流、痛そうだったな……。芸人のリアクションとか嘘臭ぇと思ってたけど、本当につらいんだな。失敗したらまたあれか、もしくはもっと……」
「うっ……」
もちろん、大事な出演者にそこまでやる訳ない。単なる演出に他ならない、けど。
一度その苦痛を味わっている誠二は、それだけは勘弁だと舌打ちをした。
「じゃあ……やるから。お前も頑張って射精しろよな」
誠二はぶっきらぼうに言って跪くと、萎えたペニスを掴み、口を開けた。
熟した果実のような赤い舌が、ねっとりと蛇のように竿を這い回ってくる。
命令されて仕方なくだけど、俺を見下してきたあの誠二が。本当に俺のチンコ舐めてる。俺もまさか誠二にフェラされる日が来るだなんて思わなかった。馬鹿みたいな絵面だ。
誠二を辱める達成感よりも、嫌悪の方が大きかった。
ただ、そんな俺とは裏腹に、誠二の口淫は凄く、
「うわ、なにこれ、うまっ……」
やがて全体を口内に咥え込み、頭を前後させてジュッポジュッポと卑猥な水音を鳴らしている。
男同士だから弱いところはある程度はわかるにせよ、テクニックがなんだかAVなんかで見るそれに似ている気がする。果たして初めてでこんなにたまらない性技ができるものだろうか?
「どこで覚えたんだよ、こんなのっ……」
「ど、どこだっへ、いいらろ……」
自分から言いだしたこととはいえ、誠二の口の中で本当に勃ってきたのが悔しい。そのくらいに舌のざらつきと、吸われるのが気持ちいい。
でも普段のオカズがそれこそ性犯罪でも犯したらマスコミが反応しそうなレイプものだったりするからか、ひょっとすると自慰のやり方が人より激しいのか、今ひとつ物足りない。
それに、こんなところで誠二に翻弄されるのも、まるで誠二の方が立場が上のようでムカつく。
懸命にフェラしている誠二の頭を両手で押して、喉奥にまで侵入する。
「ムグッ!? うご、うがぼぼっ……!!」
「うおぉ……喉……締まる……いいっ」
「ゲッホゴホ! オェッ……! い、いきなり、なにしやがるッ……」
それにはさすがの誠二も驚き、すぐに顔を離してしまった。
「いや、他の舌技も良かったんだけど、どうも俺、喉の奥まで目一杯に咥えられる方が好きみたい。おい覚えたかよ? 俺の好きなのは喉」
「……う、クソ……わ、わかったよ……」
「じゃあフルボッキするまでそれも交えながら続けて。……早く」
語調が強まったせいもあるのか、誠二は髪をかきあげつつ、ディープスロートに励んでいった。
なんとか好きなAV女優やエロ漫画のシーンを思い出していると、本当にその妄想相手にフェラされている気分になってくる。
誠二が吐息を漏らしたり咽せたりすると、さすがに現実に引き戻されるが、すぐに目を瞑ってまた虚構の世界への旅を再開する。
まったくなんで同性にこんなに必死になってしゃぶってもらわなきゃいけないのか。少しくらい不細工でも器量のある彼女をつくってしてもらった方がマシだったかもしれない。これもある種の精神的拷問だ。
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