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第4話
恋人繋ぎをしてショッピングモールの中を歩くのは、何年も外に出ていなかった碧唯にとって少し歩いただけでもかなりの疲労感を感じるものだった。
「おや、疲れましたか?少し休んでからお買い物しましょうか」
それに気づいてくれた男性はフードコートに碧唯を連れて行き、アイスクリームをご馳走してくれる。
「わぁ……ありがとうございます!」
「ふふふっ、アイスクリーム、好きなんですね。とっても可愛い顔……」
大きいサイズのチョコレートアイスに大満足の碧唯は夢中で食べていた。
「あの……えっと……」
「あぁ、僕の名前ですか?僕は筑波嶺威(たける)です。でも、君は僕のペットですから、僕の事はご主人様と呼んで下さいね。さ、呼んでみて下さい」
「え……っ……」
ニコニコしながらとんでもない事を言ってくる威に、碧唯は固まってしまう。
(何で?この人絶対頭おかしい……)
ゲームやアニメの世界の人みたいだ。
そう思ったが、とても楽しみに待っていそうに見える威を見ていると、アイスクリームをご馳走してもらった事もあり碧唯は逆らえなかった。
「ご……ご主人……様……」
「よく出来ました。ご褒美として後で美味しいご飯を食べさせてあげますね」
満足そうな笑みを浮かべながら、威は碧唯の頭を撫でてくる。
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