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第11話
デザートのチーズケーキを食べさせてもらうと、碧唯は威とお風呂に入る事になり、リビングの奥にある浴室はふたりで入ってもまだ余裕があるくらい広かった。
(すごい……家のお風呂よりもずっと広い。3人で使っているから……だよね……)
威に入浴中は首輪を外す事を許された碧唯はその手を引かれ、洗い場に並んで座ると、威の身体を洗うように言われる。
先ほどの今……という事もあってまたああいうコトをされるのかと思ってドキドキしていたが、密着してお風呂に入る以外は特に何事もなく終わっていた。
「もしかして期待させちゃいましたか?僕、のぼせやすいからお風呂ではHな事はしないんですよ」
「そ……そうなんですか……」
耳元で囁くように話す声に、碧唯はドキドキしてしまう。
「子豚ちゃん」
「はい」
「君の事は僕が必ず幸せにしますから、僕の言う事をちゃんと聞いて下さいね」
「……分かりました」
プロポーズのような甘い言葉。
けれど、自分に向けられたこの言葉は決してそれではない。
それでも、碧唯は自分を見捨てた肉親よりもかなり風変わりな威の方が自分を大切に思ってくれていると感じはじめていた。
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