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第17話
「完成〜!!見てみて、ワタシって天才!!」
メイド服を着た後、一機がヘアメイクを施してくれた。
(ウソ……これが……ボク……??)
目を開けるように言われてゆっくり目を開けると、そこには自分とは思えない可愛らしい女の子がいた。
「これならモデルとして問題なくイけるわ」
満足そうに笑う一機。
そこに、仕事を終えた威がやって来る。
「ただいま、僕の可愛い子豚ちゃん」
「お、おかえりなさい……」
「この恰好……すごく似合っていますね、さすがカズキ様」
いきなり抱き締められ、頭を撫でられる。
威の温もりに、碧唯はドキドキしてしまった。
「タケル、これならトウヤにちょっと修正してもらうだけでイけると思うんだけど」
「……そうですね。試しに何枚か撮ってみましょうか」
その瞬間、威の表情がいつもと違う雰囲気になった気がした。
威がカメラとライトを持ってくると、メイクルームの白い壁を背に立つように言われる碧唯。
「子豚ちゃん、手をこう組んで、こうしてみてくれますか?」
「は……はい……」
威に言われたポーズを見よう見まねでやってみる。
「そう、それで目線だけ少しカメラをチラッとみるような……そうです、そのまま動かないで下さい」
いつもと違う雰囲気の威にドキドキしながら、碧唯は言われた通りにやっていた。
「ん、初めてにしてはすごく上手です。可愛く撮れましたよ」
「豚のクセになかなかやるじゃない」
撮影した画面を3人で確認する。
そこには自分とは思えない自分がいた。
「個人的には女の子そのものなので普段の子豚ちゃんが1番ですが、世間的には良いと思います。じゃあもう1ポーズだけ撮ってみましょうか」
今度は脚を開き、スカートの下がチラリと見えるようにするように言われた碧唯。
「カメラを上目遣いで見て下さい。そう、そのままで……」
次の写真もふたりに褒められる出来だった。
「タケル、とりあえずワタシのブログに今日のお仕事ってコトで撮った画像載せていい?ウチのチームが完全プロデュースする新人グラビアモデルって事で紹介する感じで」
「えぇ、構いませんよ。このままなら子豚ちゃんの正体に誰も気づかないと思いますし」
「ありがと!豚、今日からアンタの別の顔はグラビアモデルaoiよ!!ワタシたちの作品として絶対アンタを人気ナンバーワンにしてみせるわ!!」
「は、はぁ……」
「ふふふっ、カズキがこんなに燃えている姿、久しぶりです。僕も子豚ちゃんの成長が楽しみですね」
楽しそうなふたりに対して、碧唯は戸惑いしかなかった。
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