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第42話

「子豚ちゃん」 碧唯は威に頬をぺちぺちと叩かれて意識を取り戻していた。 「あ……ごめんなさい……」 「いいえ、僕も君が可愛くてついやり過ぎてしまいました」 頭を撫でられて額にキスをされる。 「お風呂に入って帰りましょう」 「は、はい……」 (いいのかな……これで……) 自分だけが気持ち良くなってしまっていないか、碧唯は不安になった。 「あ、あの、ボク、お仕事ちゃんと出来ましたか?」 「……えぇ、今日もとってもよく頑張りましたよ」 そう言って、威は碧唯を抱き締めるとキスをした。 (良かった、ちゃんとお仕事出来ていたんだ……) 碧唯もその背中に腕を伸ばし、抱き締め返していた。 帰宅した頃、外はすっかり暗くなっていた。 「おっそーい!!アンタたち、どこ寄り道してたの?トウヤが代わりにご飯作っておいてくれたわよ」 「すみません、子豚ちゃんとのデートを楽しんできてしまいました」 「どーせそんなことだろうと思ったよ。んで子ブタくん、どこ行ってきたの?」 一機と十哉が用意してくれた夕飯を4人で食べ始める。 「えっと、アクセサリーのお店に行って、指輪を買って頂きました」 「それだけ?」 「えっ!?」 同じようにニヤニヤしている一機と十哉。 碧唯はこのふたりが何かよからぬ事を考えているようにしか見えなかった。 「日が暮れるまでそこにいた訳じゃないわよね?」 「あ、えーと……」 正直に話していいか分からず、碧唯は隣の威の顔をチラ見する。 「行きましたよ、他の所にも」 笑顔でふたりに応える威。 「おっ、って事は?」 「すみません、ご期待に添えてはいません。今日は準備運動というところで帰ってきました」 「はぁ!?」 十哉が威の言葉に驚きの表情を浮かべた。 「タケルが準備運動だけで済ませられるなんて……」 「おい、タケル、お前大丈夫か?いつもなら付き合ってすぐセックスして、俺らと見せ合ったり……」 「!!」 その言葉は、碧唯をひどく動揺させた。 「子豚ちゃんは特別な存在だと言ったじゃありませんか。その時には君たちに必ず報告しますから、今後僕のペースに口を出さないで下さいね」 笑っていない笑顔で話す威。 「わ、分かったよ」 『準備運動だけじゃ済まない』 『付き合ったらすぐセックスしていた』 (今までのご主人様ってどんな人だったんだろう。ボク、ご主人様の事、何にも知らない……) 4人で会話していると出てくる、自分と出会う前の威の話。 大好きな威の事をもっと知りたい。 碧唯はそんな思いに駆られていた。

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