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第44話

「子豚ちゃん、つまらない話ばかり聞かせてしまいましたね」 「えっ、いえっ、そんな……」 「子ブタくん、興味津々なんじゃない?大好きなご主人様の事、知りたいよなぁ……」 「ひぇっ!!」 いきなり十哉に背後から抱きつかれ、碧唯は声を上げてしまう。 「へー、子ブタくん、そんな声出ちゃうんだ。可愛いじゃん……」 「や……っ、トウヤさん、やめてくださ……ッ……」 耳元を指で擽られると、背筋がゾクゾクしてしまう。 「トウヤ、それ以上僕の可愛い子豚ちゃんに触れたら……どうなるか分かりますよね……」 その腕を掴み、捻りあげる威。 笑っていない笑顔は、碧唯に今までで一番恐怖を感じさせた。 「いってー!!タケル、冗談に決まってんだろ?」 「今の冗談は理解に苦しみます」 「何だよ、お前、子ブタくんが大事なら子ブタくんに隠し事するのは止めろよ!」 「隠し事?僕はそんな事していませんが」 「してるだろ!?俺たちが知ってる事全部、子ブタくんは知ってるのか?違うよな?」 「トウヤ!ちょっと落ち着いて!!」 威の胸倉を掴み、睨みつける十哉。 お酒が入ってヒートアップしている十哉を、一機が何とか止めようとしていた。 「カズキ、お前だって思ってんだろ?コイツは子ブタくんが可愛くて可愛くて仕方ねーからこそありのままの自分を見せられてねぇって」 「それは……そうだけど……」 「子ブタくん、俺たちに打ち解けてくれてる一方でお前の事、もっと知りたいと思ってるように俺には見えるよ」 「…………」 (トウヤさん、カズキさん……) 碧唯はふたりに自分の事で気を遣わせてしまい、申し訳ない気持ちになってしまった。 「あっ、子ブタくん!!」 一緒にいるのが気まずくなり、碧唯は思わず走ってレストランを飛び出してしまっていた。

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