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第13話 キス※
急に立ち上がった智は僕も立たせて、そのままベッドでおし倒された。
「えっ、まって」
急展開が過ぎる。まだこころの準備がそこまで追い付いてない。
「こういう意味じゃなかったの?」
智は甘い声で耳元でささやいた。
その声に体中がしびれたみたいで、声がでない。
「だって、そんな」
頭の中が混乱する。僕はそういう目で見てた。子供の頃と違って、今は大人だ。だから家にも泊めなかった。智の身体にふれたいと何度だって思ったし、抱き合いたいって妄想もした。
でも、智はゲイじゃないし、女の子に間違われる僕も、こんな近くにしかも服を脱いだら、絶対に男で。
「いや?」
智の手は僕の服を脱がそうと腰に手を当てている。もちろん嫌じゃないけど。
「そんな、だって、早い」
「なんかでも不安じゃない? こういうことを先にお互いにしたいって確認しといた方が、こじれなくていいと思う」
智の目は誠実で、確かに言われたとおり、手を出してくれないとくれないで、ぼくは智がゲイじゃないから、友達からかわらないとか悩むだろう。
これは智なりの優しさなのかもと思うけど、身体を見られてひかれる恐怖はある。やっぱ男は無理だって行為の途中で気づかれるのも嫌だ。それならもう少し現実を見ないふりして、ただ付き合っているという事実と隣にいる時間を、思い出としてだけでも欲しい。
「というか、さっきの男にイライラしてる。なんだあいつ。ほんと腹立つ。次来たときに、俺と付き合って、ラブラブで、いまから愛されるんですいうためにもさ」
「そんな」
少しおちゃめな言い方に笑ってるところで智は服の下に手を入れた。僕は抵抗できなくて、智のばんざーいの声で一気に脱がされた。
「俺も脱がして」
智が僕の腕をひいたので、智の服にさわる。服の上から触るだけでもどきどきするのに、恐れ多いのに。
「はやく」
おもいきって智の服を脱がす。しっかりとした体つきだ、小さい頃の面影はなくなって完全に男の体になっていた。自分たちは大人になった。
ぎゅっと体を抱きしめられた。暖かい肌同士がふれる。
「男同士でも、あったかいね。きもちいい」
目が合った。額をこつんと合わしてから、キスをする。今度はお互いの舌を合わせた。口の中で智の舌は積極的に僕の口内をなめる。うねる舌がここちよくて体の緊張が解けた。智が僕を抱くような現実は絶対来ないと思ってた。だけど、智は半裸で、丁寧に僕の口の中を味わっていた。あまりキスをしたことがなかった。前の彼氏はあまりキスを好まない人だった。たぶん僕に興味がなかったんだと思う。僕も智の面影をおっていて、彼にあまり興味がなかったのかもしれない。
唇を離す。はなして過ぎにまた唇がくっつく。
「キス好きなの?」
「うん。陽太は好きじゃない?」
「好きかも」
「ならよかった」
口の中が余韻で暖かい。そのほてりが全身にまわっているような気がする。
智は僕を押し倒して、僕の薄い胸を触った。
「なにもない」
そう笑って乳首をなめる。
「やっ」
「きもちいいの? かわい」
智は赤い舌を出して俺に見せつけるように乳首をなめた。
ふくらみはないけど、その突起はなめられるととがる。乳を出すことはない男の体についたこの突起は、気持ちいいを感じられるのは快楽のためだけにあるようで、卑猥だ。
笑った智はまた唇にキスをしながら、僕のズボンもパンツごと脱がした。あまりにもするりと、キスに夢中になってるうちに脱がされてしまった。
恥ずかしい、見られたくないって本当ならもっと思ってパニックになってたに違いないのに、了承もなく、あまりにもさっと脱がされてしまって、そのままキスも離されないものだから、思考が甘く溶かされている間に性器に触れられた。
「あっ」
キスのすきまから声が漏れる。陰部をさわられた。ノンケの人がそんなすっとさわれるものだろうか。嫌って思わないのだろうか。男同士なんだから僕が多少リードするべきではと思うのに、キスはやめられないし、そのまま幹の部分を撫でられる。
「あっ、んん」
「気持ちいい?」
やっと口をはなされたときには、体からだらんとちからが抜けた。体は正直で、もう恥ずかしいとか、するのが怖いと言う気持ちが薄れてる。
「もう、するの怖くない? 続きできそう?」
智は俺の耳朶をなめながらそう言った。
「なんで、わかったの」
「緊張してるみたいだったから、なんか前の奴に怖いことでもされたのかと思って」
「それで、怖いっていったらやめるの?」
「とりあえずキスと触るのはよさそうだから、このまま気がすむまで触る」
ダメ? と子犬の顔で言った智に僕のこわばりは完全に溶けた。智のそれはまるで見当違いだ。僕は智に自分の体にはやっぱり興味がないと言われるが怖かったのだから。見当違いだけど、僕が怖いといことにきづいて、確認してくれた。脱がす前にしてほしいところだけど、そんなことより、智は僕が脱いでも続きをしたいと思ってくれてるのが嬉しい。はしたない俺の体を触りたいっていってくれている。なにを怖がっていたんだろう。信じてみよう智の好きを。僕と彼は一緒にいた今までのすべての時間、お互いに幸せだったということを。
「怖くないよ、緊張してただけ」
今度は僕から智の耳を噛んで続けてと言った。
智も下の服を脱いだ。さわってほしいと言われたので智の性器に触れた。手でそっと撫でるだけで反応があって、ひとまずよかったと思う。そのまま、うらっかわと先を両手で触る。
「あーー、いい」
智は喉を鳴らすような声を上げて俺の頭をなでる。
「なめようか?」
「いいの?」
びっくりしたような声で言う智の目は輝いている。いいと答える前に口に含んだ。唾液を口にためて先をなめてそのまま口に精一杯収める。
「うわー。エロい、最高」
「おおげさじゃない?」
僕は口に入れたり抜いたりを繰り返す。それがずいぶんおきにめしたようで面白いぐらい性器が大きくなり、鈴口からよだれがたれた。
「フェラって男の夢じゃん、でもしてくれる子いままでいなかったんだよね。ゆめかなった。まじありがと、めっちゃいい」
すごい早口になった智に笑う。こういうところは子供みたいだ。
さっきまではずいぶん余裕な男だったのに。こういう素直なところが好きだった。今でも好きだ。
「口にだす?」
「えっ」
その考えはなかったと興奮で智はこえが裏返っている。
「ちょっとまって、初めてでそれは申し訳ない、それに、入れたい……です」
僕は口から性器を抜いた。だらりと智の先走りと混ざった唾液を口に出して、それを自分の本来男の性器ではないけど、似たような働きをする口にもって行った。
「入れるのここだけど、いける?」
し始める前は絶対にひかれると思っていた。その怖がりを今は振り切って、自分で自分の穴に指を入れる。こんなことする柄じゃない。それでも智の視線は僕の今ひろがってる穴にあからさまにいってるからよかった。智の自分に向けられる目は野獣そのもので、全然心配することないって少し前の自分に行ってやりたい。
「いける、まじで入れたい」
智は立ち上がると自分のカバンからゴムを取り出した。智は俺に覆いかぶさって、俺の足を掲げた。智の性器は相変わらず元気で俺の手に押し付ける。
「まって、ちょっとならさないと」
自分で指を動かした、喘ぎ声が口からこぼれる。智の目は相変わらず僕を蹂躙していて、それに感じてしまう。自分でうごかすだけならこんなに気持ちよくならない。
智は急に俺の手をつかんでひいた。
「あ」
いきなりの刺激に声が出る。
「一人で楽しまないで、俺もやりたい」
智はそういうと広がった穴に自分の指をそっと忍ばせる。
「えっ、まって」
もうこのまま自分で準備して、いれてもらおうと思ってたのに。
智の指は恐る恐るだったのにだんだんと大胆に俺の中をさすった。
「大丈夫? どこか気持ちいいとかあるの? 教えて?」
「あっ、そこ」
智の指が張りつめていたふくらみをかすめて、そこがわかったのか、智は優しくそこを撫でる。それが気持ちくてもどかしい。一本の指だけでは物足りない。
「指増やす? 他にしてほしいことは?」
智は僕に気遣ってくれてるけど、智の興奮した場所が太ももに触れていて主張をしている。
「いいよ、もう入れていい」
そういうと智は素早く姿勢をととのえて僕のひくついた穴に性器をつけた。
「なんか、やる前さわるだけでいけるみたいなこと言ったけど、全然むりだわ、ごめん」
真剣に智はあやまってきたけど、性器は全然おとろえない。
「僕もしたかったから、いい。はやく、いれて」
智の息をのむ音が聞こえる。智は腰をすすめて僕の中に入ってくる。智はひどくゆっくりとなかに侵入してきた。そんなに広げてなかったからか、痛くはないけど、侵入してきた性器を僕のそこはぎゅうぎゅうと締め付けて味わっている。
「なか、すげぇいい」
しっかりと収まるとお互いにわらってキスをして、智が動きだす。さっきの指で学習したのか、押し込めるときに僕のきもちいとこをすっていく。
「あん、あっ、んんん」
気持ちよくなって中をしめつける。その収縮を喜ぶように中を、すべての壁をさわろうとするように、あついものは蹂躙していく。いま智と抱き合っている。そんなことあるわけなかったのに、自分の感じる快感は、全身が震えるような快感は嘘じゃない。
「智、智」
ぐっと奥に押し込められた。いっぱいいっぱいの質量を感じておなかが重苦しいのに、それに強く現実を感じる。ぐっ、ぐっとそのまま奥をこじ開けるような動きをされると下腹部全体にじわりと快楽が染みる。
「ああ、いっちゃう」
声を上げて、中をめいっぱい締め付けて僕は精液を出して、智も僕をぎゅっとだきしめて体を震わせた。
「あー、気持ちいい」
智の汗が僕の額に落ちた。
「大丈夫?」
「こっちのセリフ。よければ、もう一回、お願いしたい。そんで泊めて」
「めっちゃわがまま」
あけすけなお願いに思わず笑ってしまった。昔から強引なやつなんだ。僕がなんでもいうことをきくと思ってる。
「こんな俺は好きじゃない?」
「大好き」
大好きだ。智のそばにいるとそれだけで幸せなんだ。
「俺も」
智が俺に向けてとびっきりの笑顔を見せた。
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