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嘘つき 1
ただ、痛いだけだった。
でも、嬉しかった。
慣らしもしないで無理したから、出血していた。
「気持ち・・いい」
嘘をついた。
青い言葉が口からこぼれたけれど、とうせアイツにはわからない。
女の子だって抱いたことのないアイツがただがむしゃらに必死で腰を叩きつけてくれるのが嬉かった。
動かれる度に串刺しにされるような気がしても。
苦痛の呻き声が漏れそうになっても。
必死で堪える。
オレで気持ちよくなってくれている。
それだけで苦しさも痛みもどうでも良くなった。
嬉しくて嬉しくて死にそうだった。
凄まじく痛いのに。
まだ、本当の女の子を知らないから・・・。
今のオレなら女の子に近いから・・・。
だからこそ、コイツはオレを抱けた。
抱いてもらえる嬉しさに、オレは泣いた。
喘ぎ声のような真似までしてみせた。
苦しくて痛くてつらかったのを隠すために。
優しいコイツに、オレが苦しいなんてわからせてはいけない。
無理にせがんで「抱かなかったら死ぬ」とまで言って、仕方なしに抱いてもらっているのだから。
後ろからなら・・・女の子にみえなくもないだろう、オレは。
生まれて初めて、未発達な小柄で痩せた身体や、女のような顔立ちに感謝した。
ついてるものさえ見なければ、オレは胸のない女の子にみえなくもない。
だからアイツはオレの胸を吸ってくれたし、オレにキスもしてくれた。
キスや胸を吸われることは甘かった。
だから今耐えられる。
「後ろからして」
そう頼んだ。
オレの前についている、それさえ見なければ・・・、大丈夫なはずだから。
立ったまま犯された。
アイツは初めてなのがわかりすぎるほど、キスも愛撫も不器用なのが・・・嬉しかった。
もちろん俺がだってそんなことしたことなかった。
でも、今じゃないとダメだった。
もうすぐコイツは可愛い幼なじみと付き合うだろう。
幼なじみがもうすぐコイツに好きだと言うのをオレは知っていた。
可愛い、賢いオレと同じ年の女の子。
コイツがあの子を大事にしてきたのも知っている。
見てきたから。
断らないだろう。
断る理由なんかないからだ。
そうなったら、もうチャンスはない。
その前に頼むしかなかった。
コイツは彼女がいるのに他の誰かを抱くような男ではないからだ。
「・・・好きな女の子だと思って・・・」
オレは囁いた。
アイツが萎えないように。
吐息だけの声で。
出来るだけ男の声じゃないように。
残酷で優しい男は、素直にそれにしたがった。
「 」
囁かれた名前は、ソイツの幼なじみの女の子の名前で。
腰を叩きつけられ、苦痛にうめく。
終わって欲しいの気持ちと終わって欲しくない気持ちでぐちゃぐちゃになる。
苦しい。痛い。止めて、でも止めないで。
お前はまだ知らない。
もうすぐその子はお前に恋心をつげにくる。
お前が大事すぎて、関係を壊したくなくて、動けないままの関係はその子の告白で変わる。
オレをその子だとおもって抱かなくてもいい。
いや、お前のことだ。
なかなか手を出さないで、大事に大事にあの子が大人になるのを待つんだろ。
ペタンコの胸の、オレと同じ年の15才の華奢な女の子。
オレと同じで発育不良の。
だから、お前はオレが抱けるんだろ。
本当のあの子には抑えてる劣情を今、オレにぶつけてるんだよな。
いい、それでいい。
身代わりでも何でも。
オレを抱いてくれるなら。
オレはその名前を耳元で叫びながら繰り返すアイツがオレの中でイクのを感じた。
違う誰かを抱いているつもりだとしても。
今ソイツはオレが気持ち良くて。
オレでイった。
それは事実だった。
それにコイツの初めてはオレだ。
それで良かった。
でも、終わらなかった。
何度も何度も穿たれた。
崩れ落ちた身体にのしかかられさらに深く貪られた。
違う名前で呼ばれ、中で出され続けた。
痛くて苦しくて。
それでもそれが欲しかった。
欲しかったのだ。
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