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懇願 3
あの人はしばらく服さえ脱がないだろう。
ここで俺に求められているのは、死体の代わりだ。
死体であの人が気持ちよくなる代わりに俺を使う。
優しくされるのは・・・後でだ。
全裸にされた身体をひっくり返され、背後から慣らしもせずに突っ込まれた。
「うぐぅっ」
俺は色気も何もない声をあげる。
濡らしもせずにいきなり突っ込まれたそこは、悔しいことに毎日毎日、散々慣らされているので、裂けはしなかったが酷く痛んだ。
多分、無理に動かれたら裂ける。
あの人は容赦なく動いた。
「うぎぃ・・・」
唇を噛みしめ堪える。
あの人は気にしない。
何故なら俺のモノはビンビンに勃ちあがり、酷くすればするほど、前から恥ずかしい位零れていくからだ。
「痛いの好きでしょ」
髪を掴んて頭を引き上げられ、囁かれた。
「・・・好き・・じゃない」
俺はいう。
「ふうん」
あの人は無理やり大きく動いた。
引き裂くために。
「ううっ!!」
俺は声を漏らす。
後ろが裂けた。
血が出たせいか、あの人の動きが滑らかになる。
俺は痛みで射精した。
「ああっ!!」
俺は叫んだ。
痛みと快感が混じりあい、とけあう。
「イクくせに・・・」
あの人が裂け目を広げるように動く。
痛い痛い。
でも、また、俺のは勃ちあがり初めている。
「あんただから・・・」
俺は喚く。
あんたが欲しがっているのがわかっているから。
あんたが俺の苦痛を欲しがっているから。
そして、それと同じ位優しくしたいって思ってくれてるから。
後で優しく抱いてくれるって知っているから。
痛くてもいい。
コレがあんたがくれたもんだから。
コレがあんただから。
俺は全部貰う。
苦痛でもなんでももらう。
あんただからイける。
いずれあんたの全てをもらう。
「あんただから・・・」
俺は叫ぶ。
「僕だから・・・痛くてもいいの?」
あの人が震えるようにいう。
俺を、引き裂きながら。
「うん」
俺は頷いた。
痛い。
熱い。
あんたの熱。
あんたのモノ。
痛い。
痛い。
痛みもあんただと思えば・・・痛いけど、イける。
イけるんた。
「可愛い。ホント、お前可愛い」
あの人が俺を引き裂きながら、大きく動く。
「ああっ・・・痛っ・・・」
俺は呻く。
熱い、痛い。
でも、求められている。
そう思えば痛みが、快感と同じくらい、熱を前に溜める。
後ろでイカされるのとも違う、前でイクのとも違う、脳が痛みを書き換えるこの感覚を・・・なんて言うのだろう。
「 」
俺の名前をあの人が呼ぶ。
また前から熱いモノが零れる。
ああ、気持ちいい。
痛みと共に快楽がある。
「キスして・・・お願い・・・」
俺はせがむ。
きつく髪をひきつけられ、噛みつくようなキスを首をねじ曲げられるようにしてされる。
それでもキスだ。
舌を血がでるまでかまれる。
唾液と血を飲み込む。
生きながら喰われるような、中からあの人に食いちぎられるような感覚は、凶暴で、苦痛で、熱くて。
でも、たまらないほど甘かった。
あの人が欲しがっているのが伝わってきて。
あの人にしがみつくことさえ許されず、俺はあの人に焼かれ続けた。
傷が治る前に動かれ、腰を酷くするためだけにたたきつけられた。
「 」
名前を呼ぶ声だけが優しい。
肩の肉を喰いちぎられる
「ああっ!!」
俺は悲鳴をあげた。
その痛みでまた射精する。
「後で・・・優しくしてやるから・・・、もう少しだけ・・・」
あの傲慢なあの人がせがむんだ。
まるで許しをこうように。
「・・・僕を触らせてやるから・・・もう少しだけ」
血塗れの穴で、俺を味わいながらあの人が言う。
肩から流れる血を舐めながらあの人が言う。
たまらなくなる。
痛みと苦しさで何度も何度も俺は達した。
出すときに感じるものは間違いのない快感で。
何度も何度も脳が焼かれていくようだった。
「僕だけだろ?・・・僕だから痛くてもいいんだろ?」
そうしつこく聞く小心ささえ愛しい。
あんたを全部貰う。
あんたが与える苦痛も快楽も、その傲慢さも、そのくせ俺が離れることを怖がる小心さも。
全部だ。
「・・・あんただけだ。あんただからだ」
俺は呻く。
あの人は明らかにホッとする。
「・・・好き」
俺は言った。
本当は名前を呼びたかった。
だけど俺の愛する男には名前がなかった。
「・・・好きだ」
だから名前の代わりにそう叫び続けた。
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