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嘘つきのメソッド 4

 「お前はココが一番好きだったな、いつもここ擦ってやると・・・鳴く」  甘く囁かれた。  そこで腰を使われた。  その場所、その角度を男は固く熱いソレで、甘く激しく擦ってくる。    「あっ・・・好きっ・・それ好き・・・」  オレは甘く声を漏らす。  この何日かで何度も擦られたソコをオレはすっかり覚えて、身体をひきつかせながら、前から零し続ける。  ここでキスしてくるはず。    唇を塞がれた。  手順も覚えてきた。  熱っぽいキスにオレは夢中になる。  舌を吸われ、絡められる。  「可愛いなぁ・・・可愛いなぁ・・・オレはお前に会いたくて、会いたくて・・・」  愛してると吐息混じりに囁かれ、オレは思わず震えた。  どくどくと出してしまった。  身体が震えるのを止められない。  「愛してるって言われて嬉しかったか?・・・可愛いなぁ、お前はいつも」  男は耐えられないように呻いた。  激しく動かれる。  「愛してる」  男は叫ぶ。  激しく求められ、強く突かれる。  強く掴まれ腕に食い込む指が離したくない気持ちを伝えてくる。  男の身体は大きい。  アイツを思い出す。     鍛えられた無骨な身体。  アイツみたいに。  思わず自分からその胸に頬をすりよせる。  ベッド以外では皮肉っぽく笑っている男の顔は、今は愛しさに溢れている。  「可愛い、可愛い・・・もうオレを置いて行ったりするな!!」  男は叫び、大きく腰を回した。  そしてさらに激しく深く突かれた。   甘い杭が、身体にめりこんでいく衝撃。  「ひぃ・・・」  オレは悲鳴のような声を上げた。  衝撃に耐えられない。    甘く何度も何度も貫いて。  苦しい、でも、もっとして。  つま先がシーツを蹴る。  よだれも涙も垂れ流していく。  男の背中に爪を立てる。  「ああ、お前はこうされるのが本当に好きだな」  男が嬉しそうに笑う。  オレは男によってすっかり、男の恋人に変えられてしまっていた。  いい。  いい。   すごくいい。  激しいのが好き。  乱暴なだけじゃなくて、この求められている感覚が。  「して・・・して・・して、もっとし、て・・・」  オレは朦朧としながら叫ぶ。  初日に男にそうするように求められたままに。  「ああ・・・してやるよ。いつもみたいにしてやる、だからもう・・・いなくなるな・・・なぁ?・・・もうオレから離れるな・・・」  男は苦しそうに言った。  オレは頷く。  こんなに気持ちいいなら何を言われても頷く。  また中を擦られて呻く。  「    !!」  男が名前を叫んだ。  その一瞬だけ、まるで夢から覚めたように気持ちになった。  すっと全ての熱が消えた。  オレを包む男の体温も、身体の中に隠りオレを甘くやく熱も。    それはオレの名前じゃなかったから。  そして、部屋の片隅で椅子に座って、オレと男が身体を重ねているのを見ているアイツの存在を突然思い出す。  体温のない、冷たい冷静な目は、オレを見続けていた。   まるで視線を食い込ませるかのように。  冷たい、でも、執拗な目。  「愛している!」  また男に叫ばれ、オレは温度を取り戻した。  「愛してる!」  オレも叫んだ。  誰に言っているのかも分からなかった。  ただ、愛されて抱かれるのは良かった。  身体を道具みたいに使われるのより、何倍も。    愛して。  愛して。  オレを愛して。  「いいっ!!ああっ・・・もう・・・」  オレは熱いものを迸らせなから叫んだ。  男もオレの中ではじけた。  出す感覚も、中でイク感覚も・・・たまらなかった。    夢中で絞りとった。    全部欲しかった。   この中を精液で満たして欲しかった。  でもオレは、この男がオレを抱いているのではなく、違う男を抱いていることを思い出してしまったのだった。  「ああ、もう時間だ・・・次はしばらく会えない。でもまた会いにくるからな」  男はオレの身体を抱きしめたまま、甘く囁いた。  もう離さなきゃいけないのに、耐えられないと言うのが本当にわかる。  太い腕に抱かれ、疲れきった身体をその厚い胸に抱きしめられるのは・・・心地良かった。  セックスってこんな風に終わった後に優しいものなんだってことは・・・本当に最近知った。  何度もキスを顔に落とされる。  「この仕事が終われば・・・お前とずっと一緒にいられる、また二人で暮らそう。今度ほちゃんと引退するよ。もう、お前か巻き込まれるようなことにはしない」  男は真剣な顔で言う。  男は信じている。  男は嘘を信じている。  アイツの嘘を信じている。    オレは泣きそうになる。  男は嘘を信じていても、  男の言葉には嘘など一つもなかったからだ。  「時間ですよ、ここまでです」  アイツが部屋の隅にある椅子から立ち上がりながら言った。  「・・・分かってる」  男はしぶしぶオレから身体を離した。    最後にそっと優しい唇がオレの唇に触れた。  「お前が死んでから・・・この世界には何もなかった。お前が生き返ってくれるなら・・・オレは何でする」  頬を撫でられた。  可哀想な男。  死んだ恋人が帰ってくると本気で信じている男。    「何人でも誰が相手でも殺してやる」  男は甘くささやいた。  「    」  愛しげに見つめられ、囁かれた名前はやはり・・・。  オレの名前じゃなかった。  オレと男を見つめていた嘘つきが笑うのがわかった。  声も聞こえないし、そちらを見ていないから表情もわからないのに。  でもが笑っているのがわかった。  嘘つきが笑っていた。

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