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クロスゲーム 3
嘘つきは顔を上げた。
オレは息をのんだ。
その笑顔に見とれて。
ほどけるように嘘つきは笑った。
喜びで輝いているかのように見える笑顔だった。
ドキリとした。
嘘つきがオレの首を優しくつかんで、オレの顔を引き寄せる。
オレは目を閉じ、自分から口を開けて嘘つきの舌をまった。
「愛してます」
そんな嘘が聞こえるかと思ったけれど、嘘つきは何も言わなかった。
唇が重ねられ、欲しかった舌が与えられた。
夢中で絡めた。
奪われていく。
オレが欲しくて欲しくてたまらないかのように奪われていく。
息も出来ないほどに入ってきた舌はオレの口内を犯していく。
熱い。
舌が熱い。
もっと奥まで舌で舐めて。
もっともっと、
夢中で唾液を飲む、舌を吸いかえす。
甘く舌を咬まれて呻く。
口蓋をなぞられたまらなくなる。
でも不意に唇が離れていって、オレはそれが嫌で離れるな、と泣く。
「私が好きですか?」
優しくきかれる。
嫌、離れないで、して。
「好き。好き。好きだから!!」
オレは叫んでしまった。
強く抱きしめられた。
本当に息が止まるほど。
オレはそっと目を開けた。
「・・・して?」
強請る。
顔を胸に押し付けられてるから嘘つきがどんな顔しているのかはわからなかった。
でも、嘘つきが小さく震えているように思った。
「・・・好き。・・・して?」
もう一度、震える声で囁くと、嘘つきはソファにオレを押し倒した。
前髪をかきあげられ、額にキスされた。
頬にキスされた。
さっきまでの激しいキスとは違う優しいキス。
でも身体は震えた。
嘘つきは、苦しいような、切ないような、でも、欲望に満ちた目でオレを見下ろしていた。
「私が好きですか?」
嘘つきが言った。
「好き。好き」
オレも呟く。
オレはオレの嘘だけは目を開けても青く見えないのだ。
でもそれが嘘だと知っていた。
もう一度唇と舌が与えられ、オレはそれに夢中になった。
「挿れて・・・もういいから、裂けてもいいから、酷くていいから・・・挿れて」
オレはキスの合間に強請った。
コイツのが欲しかった。
もう何日も挿れてない。
コイツのが好き。
これは嘘じゃない。
目を閉じているから、表情は分からなかったけれど、嘘つきが笑ったのがわかった。
もう濡らしていたズボンがぐちゃぐちゃの下着ごと、あっという間に脱がされ、嘘つきが服を脱ぐ気配もわかった。
もう、オレのはいたいくらいで、だらだら零しまくっている。
そこに嘘つきが自分のをこすりつけてきた。
悲鳴を上げる。
熱くては硬い、気持ちいい、でも、ダメ。
「中、中がいい、お願い・・・」
オレは泣いて頼む。
嘘つきが苦笑したのが見えなくてもわかる。
脚を自ら広げた。
オレは衝撃に備える。
でも、脚を掴んで押し広げられて、苦痛と共に押し込まれる変わりに、与えられたのは優しい舌だった。
穴を舐められている。
熱くて、濡れたそれが優しくなめてくる。
身体がその舌に震える。
「違う・・・もういい!!挿れて・・・挿れて・・・!!」
泣き叫んだ。
欲しいのは中から貫かれ壊されることなのに。
でも、舌は優しくて、いやらしくて気持ちいい。
ひくつく襞を伸ばすように舐められ、つつかれ、唾液を、注ぎ込まれる。
わかっている 濡らさないと、酷くなるからそうしてるのはわかっている。
じりじりと快感に焼かれる。
でも、欲しいのは、硬くて熱いアレなのだ。
熱くて硬いモノで引き裂かれたかったのに、優しいそして、緩やかすぎて甘過ぎる快感は、欲しがる身体には生殺しのように辛い。
めちゃくちゃにしてくれ、突いて欲しい、硬くて大きいのが欲しいと泣きわめいても、許してくれない。
ただ、そう喚くたびに何故かつらそうなため息は聞こえたけれど。
泣いても泣いても許してもらえず、そこを舐められるだけでイってから、指でかき混ぜられ広げられてから、やっと挿れてもらえた。
嬉しくて腰を自分から振って受け入れた。
「・・・好き」
わけがわからなくなってつぶやいていた。
嘘つきが息をのんだのがわかった。
そこからはただひたすら貪られた。
何度も出された。
中に出されるのは好きだ。
震えながら腰を振り、搾り取った。
自分から嘘つきのモノを咥えもした。
夢中でしゃぶり、舐めて唇で扱いた。
喉までつかってやった。
嘘つきが初めて余裕をなくした。
オレの頭を押さえつけ、夢中で腰をぶつけてきた。
その必死さがたまらなくて、喉を塞がれ、苦しくても、オレもイった。
「好き」
壊れたように何度も言った。
オレを死んだ恋人だと思い込んでいる男とする時も、要求されるがままにそう言ったりはしてた。
でも今、自分から、そう叫び続けた。
そう言えば、嘘つきが狂ってくれるから。
夢中で愛してくれるから。
胸を弄られるのが好きなオレのために、嘘つきはそこを何度となく弄ってくれた。
胸を吸われるのが好き。
噛んで、舐められるのも。
嘘つきは心ゆくまでそうしてくれた。
唇をなぞってせがまれた。
「好き」と言えと。
嘘しか言えない男は、仕草で言葉をせがむ。
「好き」
そう言ってやる度に、凶暴なような、切ないような、甘さが混じったような色をその目に嘘つきは浮かべて、オレを貪っていく。
唇がなぞられる。
「好き」
オレは言う。
一番奥のそこをこじ開けて、愛してくれる。
たまらなくて、また叫ぶ。
「好き」
腰を使いながら、胸を吸われた。
これ、好き。
気持ちいい、気持ちいい。
「溶ける・・・よ」
オレは囁いた。
脳も身体もとけていく。
つながっているとこから、ぐずぐずにとろけていく。
「 」
名前を呼ばれた。
オレの名前を呼んで抱いてくれるの?
「 」
オレの名前?
オレが好きなの?
誰かの代わりじゃなくて、オレを愛してくれるの?
一番深く強く擦られて、脳が溶けた。
オレは意識を手放した。
誰か
愛して。
オレを。
オレだけを
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