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クロスゲーム4
「して欲しければ、誰にでも言うのですか、『好き』と?」
甘い余韻にひたりたかったのに、目覚めたらいきなり、難しい顔した嘘つきに、責めたように質問された。
なんで目を開けるなり、そんなことを言われなければいけないんだ。
「好き」と言えと言ったのはお前だろ。
寝ている間に風呂に入れられて、シーツの変えられたベッドに寝かされてた。
でも裸のままなのはコイツの趣味だ。
コイツは出来るだけオレを裸にしたままでいたがる。
変態。
「・・・言わないよ。まあ、あの男とする時は言うけど。だって、可愛い恋人だと思ってるんだから言ってやらなけらば可哀想だろ。それに、オレに好きとか言われたがる奴なんていなかったし。もっといやらしいことは言わせたがる奴はいくらでもいたけとな」
オレはため息をつきながらいった。
「『お願いですから、オレのいやらしい穴におっきいのを入れて下さい』とか『オレはいやらしい雌です。オレのぐちょぐちょの穴をめちゃくちゃにしてください』とかは言ってきたよ。言えって言われるから。でも『好き』って言えって言われたのは初めてだよ」
オレの言葉に嘘つきは複雑な顔をした。
「オレは淫乱ビッチだからな、なんでも言うよ。・・・でも、『好き』って『オレ』に言わせたのはお前だけだよ。誰もそんなのいらない」
オレは笑った。
好きな男にはそう言うわけにはいかなかった。
オレじゃない人を抱いてるつもりで抱いてもらわなければいけなかったし。
あ、なんかオレ悲しくなってきた。
悲しい性生活だったなぁ、人数としたプレイの種類だけは多いけど。
反省しよう。
本当に。
本当に、コイツから逃げれたらやり直す。
嘘つきが難しい顔をして、オレの唇をなぞる。
言葉を強請られてる。
「・・・わかったよ、言えばいいんたろ、好きだよ」
オレはため息をつきながら言った。
嘘つきは嬉しそうに笑った。
これは危険だ。
声にして、言葉にして唱え続ければ、心は勘違いをする。
そして、勘違いから本当になってしまう。
洗脳やカルトの手法だ。
分かっているのに。
唇をなぞられる。
「・・・好き」
オレは小さく呟く。
背中から抱きしめられた。
安らいだ気分にはなる。
もう少し寝たい。
目を閉じる。
嘘つきも眠るつもりだろう。
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