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衝突 1
オレは必死でシーツを握りしめてた。
「あうっ・・・うあっ、はぁ・・・」
掠れた声しかでない。
「可愛いなぁ、お前は」
愛しげな声がする。
男は背後からオレの腰をつかんでガンガン突いてくる。
デカいそれでめいいっぱい広げられ、突きまくられるのは最高だった。
「・・・気持ち・・・いい」
オレはそう掠れた声でつぶやく。
スピードを緩められ、男のお気に入りのところをゴリゴリと擦られた。
男に教え込まれたそこが、今ではすっかり好きになっている。
「・・・ん、・・っ」
シーツを掴み、崩れ落ちながら身悶える。
声も出ないほどの快楽。
たまらない。
自分から尻を振る。
男がうめき、そして低い笑い声が聞こえた。
顔は見えないが、目を細め愛しげに笑っているんだろう。
オレの腰を掴んでいる指が強くて痛くて、でも離したくないのがわかった。
「・・・あっ、イ・・く」
奥をえぐられる快感に、オレは全身を震わせ、男を締め上げ、しぼりとり、イった。
そんなオレを嘘つきはいつも通り、部屋の隅から見ていた。
冷たい視線。
でも、刺すように見る視線は何も見逃してくれない。
嘘つきが見てる。
オレが挿れられる時、オレのアイツのもコレくらいデカいよな・・・とか考えたり、
揺すられながら、アイツがオレに勃ちさえすればこんな風にケツ振って、絞ってやったのに、とか考えてしまう瞬間さえ、見ている。
あまりに愛しげに抱くもんだから、すっかり男が可愛くなって、胸に男の顔を押し付け抱きしめたり、伸ばされる指先にキスしたりしているのも見られている。
男の首筋を血が出るほど噛み、甘く吸った。
赤い印が出来るまで。
可愛い。
この男、可愛い。
気持ちいい。
自分から男にキスをする。
恋人のように。
男はその時、嬉しそうに笑った。
嘘つきは見ている。
男のを咥えてやった。
丹念にしゃぶると、男が声を上げてオレの口の中に放つ、そそしてオレに飲むように促す。
それをすべて嘘つきは見ている。
冷たい視線。
感情のない視線と言うのではなくて。
執拗に見られている。
心の一つ一つを見透かされるように。
男に抱かれながら、その熱さや優しさや激しさに、溶かされながら、その気持ちに引きずられ、恋人のような気持ちになりながら、嘘つきのその視線にも犯された。
男がこの部屋を出ていった後、されることを考えて・・・男の指や舌やそこではない、視線でオレはイった。
「アイツらを殺せばその命を吸ってお前は本当に生き返る。もう少しだけ・・・待っててくれ。この部屋から出て、オレとお前の家に帰ろう・・・」
最後に男はオレを抱きしめながらそう言った。
すっかりとろけていた脳は正気をとりもどす。
何を言っている?
オレは背中からオレを抱きしめ、あやすように抱く男の顔を見ようとふりかえる。
その顔にキスを落とされる。
「お前を本当にこの世に戻せるなら、オレはなんでもするんだぜ・・・」
男はオレを抱きしめる。
何が始まろうとしている。
嘘つきがこの男に何かさせるのはわかっていた。
それが今度嘘つきが集める信者達の祭りと何か関連があることも、自分達を狩りにくる、捕食者や従属者、そしてアイツに関連することも。
だからアイツの捕食者にメッセージは入れた。
制限がかかっている範囲内で出来るだけのことは。
捕食者は思った以上に賢く、面白い男だった。
写真は見たことがある。
ちょっと見たことない位、綺麗な男だ。
酷いサディストだと知らなければ、抱かれたいと思うくらいの。
いや、それはとにかく。
でも、本当にこの男にオレを渡すつもりか?
嘘つきは。
恐怖が湧き上がる。
本当にこの男の死んだ恋人にされてしまうのか?
男はなごりおしそうに、オレの身体から手をはなした。
オレの髪にキスする。
「ソレが終わるまで、・・・あえなくなる。待っててくれ。一緒に家に帰ろう。家のネコに名前をつけてももう構わない・・・」
男は愛しげに言った。
迎えにくる迎えにくると何度もいわれて青ざめた。
コイツにオレが引き渡されたなら、逃げられる可能性はどれくらいあり、もし、コイツの洗脳が解けたなら、オレが殺されない可能性はどれくらいあるのだろうか。
オレは必死で考えていた。
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